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2006-05-12

『村上春樹風』 今日の愚痴  上

【生活全般】『村上春樹風』 今日の愚痴

1 :やみくろ :04/08/23 21:47 ID:lvulI4Cd
「やれやれ」と私は言った。
46 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/31 08:22 ID:gfdtwxQm
>>1
やれやれだぜ

47 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/31 13:26 ID:y6ozGijc
>>46
それはちがう。僕は思った。
そ れ は ち が う 。

3 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/23 21:52 ID:bIuWhgPt
「そうろう」と女は言った。

7 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/23 23:14 ID:xR5RP+w7
今日はなにもかもがいつもの調子を見失ったみたいだった。
隣の席の上司の髪はいつもよりずっと心細く見えたし、
間違い電話がじゃんじゃんかかってきた。
おまけにせっかく作ったファイルが深い深い井戸に落っこちた
子猫みたいに行方不明になってしまった。
やれやれ。僕はためいきを一つつくと、
かりっとしたドーナツを食べてコーヒーを飲んだ。
ドーナツだけはいつも通りの味だった。

11 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/24 08:52 ID:vORUS8Jn
朝になり朝刊が配られ、満員電車が行き交う。
繰り返す毎日、繰り返す日常。
僕は、この32年間で何を得たのだろうか?
失った多くの物は、今なお失い続けている。
やれやれ、と僕はつぶやいた。
しかし、それは僕の声ではないように思えた。
僕は、ダークグレイのスーツの内ポケットに
「辞表」と書かれた封筒をしまった。
僕は何処に向かおうとしているのか?
何処に向かうべきなのか?
しかし、僕が何処に向かおうが、
明日の朝になれば朝刊は配られ、満員電車は行き交う。
とにかく僕は、何処かに向かって歩き出さなくてはならないのだ。

13 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/24 10:49 ID:zLMmUbjM
読み進めていくうちに、僕は前にもこのようなスレがあったことを思い出した。
当時の僕はひどく疲れていて、10まで読んでやめてしまったのだ。
そして今の僕は12まで読んでやめてしまうほどに疲れている。
どこかでかっこう、と鳥が鳴いた。

28 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/26 14:13 ID:Mts+KEfM

  _  ∩
( ゚∀゚)彡 やれやれ! やれやれ!
 ⊂彡

29 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/26 15:50 ID:JcKzbApV
1/2

「もう秋だ」

声に出してみると、半袖を着ている自分が
急にみじめに思えてきた。

そう。ついこの前まではすごく、非常に、全くの夏だったのだ。
日本中の虎がバターになってしまうほどの暑さだった。

突然秋になんかなってもらっても困る。
僕には何の準備もできていなかったし、
なにより、夏に残したものなんて ひとつもないのだ。

僕は、藤沢駅から江ノ電に乗り換え、鎌倉に向かった。
電車の中では ふたりの中年の女性が、
お互いの顔を見ようともせず、楽しそうに会話していた。
ノンスリーブの女性が恋人らしき相手になにやら耳うちし、
その恋人らしき男性は女性の腰にそっと手をまわしていた。

30 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/26 15:50 ID:JcKzbApV
2/2


そんな光景を見ていると、
僕だけがここに馴染んでいないような気がした。
ちょうど誰かにむりやり僕だけが
切り取られているような気がしてならないのだ。

小町通りを歩きながら、
古い 玩具屋に並べられた売れ残った花火を見ていると、
僕は急に寂しい気持ちになった。
何故だかは わからない。でも寂しいのだ。


「馬鹿みたい。」
半年前の彼女が言った。

37 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/29 22:28 ID:MSjx1/V5
「煽るんだよ」羊男は言った。
「スレが続いている間はとにかく煽り続けるんだ。
 おいらの言っている事は分かるかい?煽るんだ。
 煽り続けるんだ。何故煽るかなんて考えちゃいけない。
 意味なんてもともとないんだ。そんなこと考え出したらレスが停まる。
 一度レスが停まったら、もうおいらには何ともしてあげられなくなってしまう。
 一般社会との繋がりはもうなにもなくなってしまう。永遠になくなってしまうんだよ。
 そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きていけなくなってしまう。
 どんどん引き篭もりの世界に引き込まれてしまうんだ。
 だからレスを停めちゃいけない。
 きちんとステップを踏んで煽り続けるんだよ。
 そして固まってしまったものを少しずつでもいいからほぐしていくんだよ。
 まだ手遅れになっていないものもあるはずだ。
 使えるものは全部使うんだよ。ベストを尽くすんだよ。
 怖がることは何もない。あんたは確かに疲れている。
 疲れて、脅えている。誰にでもそういう時がある。
 何もかもが間違っているように感じられるんだ。
 だからレスが停まってしまう。」

僕は目を上げて、またレスの上の影をしばらく見つめた。

「でも煽るしかないんだよ。」と羊男は続けた。
「それもとびっきり上手く煽るんだ。みんなが釣られるくらいに。
 そうすればおいらもあんたのことを手伝ってあげられるかもしれない。
 だから煽るんだよ。2chの続く限り」

38 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/08/30 02:29 ID:OPmcIA2L
>>37
悪くない
僕は声に出して言ってみた。 「 悪くない 」

50 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/01 00:27 ID:HqFqfGKS
それでいったいどの辺りが愚痴なんだろう?
いくら考えても分かりそうもないのでぼくはあきらめてビールを飲むことにした。
まったく今日は、どんな働き者のありんこだってきっとうんざりしちゃったくらい
暑かったのだ。

52 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/01 18:56 ID:bnmzcx7o
「あるいは春樹らしくないのが続いているだけなのかもしれない。」

僕は声に出して呟いてみた。それは愚痴ですらなかった。
自分の声が自分の声でないみたいだった。

どこか遠くのテレビの音が、僕自信の存在を否定している気がした。

53 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/02 06:10 ID:q0xbLfcn
僕は決して熱心な読者ではなかった。

しかし「春樹らしくない」という表現には、
いささかの違和感(不信感と言っても差し支えないだろう)をおぼえた。

54 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/02 16:43 ID:IcxBEJpe
「今日、頼むよ」
課長は表情のない乾いた声で言った。
ちょっとした感情の変化で声のトーンががらりとかわるのだ。
少くともそれをある種の慰めとしてとることは到底不可能であった。
僕はすべてを理解する。残業だ。

その声により何もかもが一瞬のうちに白日のもとにさらけ出される。
その光の下ではものごとはあまりにも鮮明であり、簡潔だった。
僕は短く息をのみ、ゆっくりとそれを吐き出す。
吐き出す息はまるで焼けた石のように固く、熱い。間違いない、残業だ。

課長の口調には何か致命的な威圧感があるのよ、と隣の新卒OLは言った。
そう、課長には何か致命的に威圧的な感情がある。
その声を聞くたび僕の感情はずしんと音を立てて沈みこむのだ。

「なぜ僕なんだろう」
「リストラし過ぎちゃったのよ」
「どうすればいいと思う?」
彼女は僕の顔を見て首を横に振った。
「もう5時には帰れないのよ」

すごく唐突な会話の途切れ方だった。

57 :1/2:04/09/04 17:07 ID:/6n6muH7
居間のパソコンで2ちゃんを見ているときに、電話がかかってきた。
僕はFM放送にあわせて吉田照美の「やる気MANMAN」の冒頭で笑っていた。
くそスレを立てるにはまずうってつけの番組だった。
今日も小俣さんは全開で飛ばしている。いい感じだ。

僕は3つめのくそスレを立てたところで、いつのまにかおろされていた
ズボンを腰まで上げ(PCの前に座るといつもの癖で必ず降ろしてしまう)、
受話器をとった。

「わたしよ、わたし、お兄ちゃん。事故を起こしたから十万円振り込んで
欲しいの」、唐突に彼女が言った。
僕は女性経験にはかなりの自信を持っている(逆の意味でだ)。
それは知らない声だった。というか女性としゃべることすら3年ぶりだ。
女性という生き物の声すらも、僕は忘れかけていた。
忘 れ か け て い た。

58 :2/2:04/09/04 17:08 ID:/6n6muH7
「失礼ですが、どちらにおかけですか?」と僕は礼儀正しく尋ねてみた。
「お兄ちゃんにかけているのよ。十万円だけでいいからお金が欲しいの。
そうすればお互いよくわかりあうことができるわ」
と彼女は言った。高くやわらかく、声優でいうと堀江由衣だ。
「わかりあえる?」
「気持ちがよ」

私は彼女の姿を頭の中に思い浮かべてみた。
彼女はシーズン初めの野球帽の芝生を思わせるような色合いのグリーンの
メイド服を着て、白い下着に白のガーターベルトをはいていた。
たぶんそれが彼女の私服なのだ。

私は寝室にいって、ありったけのお札をソフマップの紙袋につっこんだ。
それから、ブルーのジーンズとオリーヴグリーンのネルシャツを選んで着た。

私はこれで私の失ったものを、とり戻すことができるのだ、と思った。
それは一度失われたにせよ、決して損なわれてはならないのだ。
取り戻すとか損なうとか以前に、僕に妹はいないはずだが、
そんな事はこの際、大きな問題ではなかった。
私は目を閉じて、妹との妄想に身をまかせた。
「やる気MANMAN」は小俣のエロドラマで架橋を迎えていた。

61 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/05 00:40 ID:swhWdjPr
馬鹿にされてるのよ、と隣の女子社員は呟いた。

僕はどちらかといえば社交的な類ではなく、内向的な人間だ。
単に俗物の世界をあまり好かないだけなのだ。
そんな僕にでさえ、職場における彼女のそのひとことに応えないわけにはいかなかった。
「よく分からないな」
「4つ目でもとに戻るのよ」彼女は少し混乱しているようだった。

「エキサイトの翻訳よ。私は機械工学出身で英語は苦手なの。
だから和訳するときはいつもここを利用するのよ」
僕は彼女のつんと尖った鼻筋を見つめていた。

「昨日の深夜観た西部劇の映画の中で"shit"という台詞があったの」彼女は続けた。
「よくある台詞よ。よくある台詞だったけれどその俳優の顔を何気なく思い出して
 "shit"と書き込んで和訳してみたの。そうしたら思った通りの名詞が出たわ」

「だろうね」

62 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/05 00:40 ID:swhWdjPr
「だけどね、ちがうの。その俳優はものすごい感情を込めて話していたの
 きっとその台詞のために何度も何度もリハーサルを繰り返したのよ。
 だからね、"shit!"とエクスクラメーションマークをつけてみたの。
 そうしたらとんでもないことが起こったのよ」
僕はどう答えていいのかわからなかったので、会話の続きを待った。
「でも、エクスクラメーションマークを4つ付けるともとに戻るのよ
 なんで4つだと戻ってしまうの?こんなのってないわよ」

「完璧な翻訳などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」
と僕は意見を述べた。でも彼女はいつものように、
僕の現実的凡庸な見解にはとくに心を動かされなかったようだった。

僕はコンピュータを立ち上げ、
試しにエクスクラメーションマークを5つ付けて和訳し そのままブラウザを閉じた。
5つ目に付けたときの和訳に ─ あるいはエキサイトに ─ 絶望してしまったし
なにより外の雨の音を台無しにしたくはなかったからだ。

63 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/05 01:58 ID:/OGDGGcy
>>62
「完璧な翻訳などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」
と僕は意見を述べた。でも彼女はいつものように、
僕の現実的凡庸な見解にはとくに心を動かされなかったようだった。

この元ネタがなんだったのか、僕にはそれを知る必要があった。
僕は今まで目にしてきたたくさんの文章の中からその風景を取り出し、眺め、
そして首を振った。
やれやれ。一体なんだってこんなにたくさんの情報が僕を取り囲んでいるんだ?

あるいは君は>>62の元ネタなんてどうでもいいじゃないかというかもしれない。
草木は眠り、真っ黒な闇がこの空を覆っている時間に、なぜそんなことを
気にしなくてはならないのか?どうしてそんなことのために平和な熟睡を手放すのか?

しかしこれは僕の問題であり、君の問題ではない。
僕はあくまでこの元ネタを必要としているのだ。

布団を抜け出し、本棚を眺めながら背表紙を目で追っていった。
フィッツジェラルド、カートボネガット、村上春樹ー
「スプートニクの恋人?」
僕は>>62にそう訊ねたかった。
答えを知るには、今すぐに電話をかけ(りんりん)>>62をたたき起こせばいいのだ。

受話器を握り締めたまま窓に視線をうつすと、夜は音もなく世界を黒く染めていた。
朝が来てからでも遅くない。
僕は諦めると受話器を置き、布団にもぐりこんだ。

確信はいつも、僕が伸ばした指先の少し先にあった。

68 :名無しさん@自治スレ参加募集中 :04/09/05 20:15 ID:swhWdjPr
僕は>>63が受話器をもとに戻して布団にもぐりこんだ所を思い浮かべた。
書き込み時間は午前二時に近い時間を指していた。
広々としたフライパンに新しい油を敷いたときのような
沈黙がしばらくそこにあったのかもしれない。

あのとき>>63が『風の歌を聴け』の冒頭を読んでさえいれば、
僕に対してレスをつけることなど無かったのだろう。

あるいは僕がもっと早く書き込んでいれば、
>>63がもっと充実した一日を過ごせたのかもしれなかったな、と考えると
いささか妙な気分だった。

仕方ない、いずれにせよ僕は日曜日にはねじを巻かないのだ。

97 :名無しさん@生活サロン板できました :04/09/22 16:58:13 ID:o0GzufZ4
テレビでは元タレントの四回目の逮捕を各局一斉に放送していた。
逮捕されたばかりの彼の新しい映像はまだ殆ど無いらしく
一回目、二回目、三回目の逮捕時の映像を垂れ流していた。
僕は彼の髪の毛がだんだん薄くなっていく様子を見てため息をついた。

初めて釈放された時の会見を何気なく見ていると、
挙動不審になりながらも、─ 前の晩から考えて女の子に告白するかのように ─
喉の奥から冗談を一所懸命絞り出していた。 何度も見た映像だ。
くだらない冗談を燃料にして走る自動車があったのなら
彼は随分と遠くに行けるのだろうな、と同情には程遠い感情が僕には沸いていた。


パチン・・・・

OFFだ。

99 :名無しさん@生活サロン板できました :04/09/24 21:14:45 ID:q+NJfPlP
やみくろがいけないと思うの、と彼女が続けた。
「やみくろ」 僕は彼女の言葉を繰り返した。
声に出すとそれはしんとした部屋で、僕の声だけがやけに大きく響いた。
それまでの彼女の話をけっして聞いていなかったわけではない。
ただ、彼女の話は午前十一時にはいささか退屈だったし、
やみくろと言う聞きなれない単語は僕を話に惹きこむには充分だったからだ。

彼女は僕がやみくろを当然知っているかのように続けた。
「私がよく行く掲示板で村上春樹の文体で愚痴を書き込むスレッドがあるの」
僕はペペロンチーノと格闘していたフォークを止めて彼女の話に耳を傾けた。

100 :名無しさん@生活サロン板できました :04/09/24 21:15:11 ID:q+NJfPlP
「村上春樹の文章というと、やたらにやれやれと書き込む人が多いの。
だってそうでしょ?春樹イコールやれやれみたいな風潮にどうしても違和感があると
あなたは思わない?その単語を使うと誰でも春樹になれるような感じに使われるの。
そこには彼が小説で書くやれやれとは意味合いが違うように感じるのよ、よく分からないけれど」
僕は付け合せのレタスにフォークを刺した。しゃんという気持ちのよい音がした。
「だから私の今までの書き込みにはやれやれなんてひとつも使わなかったわ
それにその言葉を使わないほうが、かえって彼の文章らしく感じられると思うの」

「それと、そのやみくろにどういう関係があるのだろう?」僕は尋ねた。
「関係? おおありよ」彼女は開いたノートパソコンをそのまま僕の方へ向けた。
「どんなに沢山レスがついても、"最新50"をクリックするとやみくろの書いた文章が
いやでもすぐ上に見えるのよ。スレッドを立てる人というのは、そこまで気にしなくてはいけないと思うの。
私はこのスレッドが大好きで、上がっているととっても嬉しいの。とっても嬉しい
んだけれど、このやれやれを見てしまうと書きこむ気力が半減してしまうのよ、
餌を食べ終わったばかりの仔犬みたいに」
彼女はこめかみを触っているのだろう。彼女はいらだつと無意識にこめかみを触るのだ。

101 :名無しさん@生活サロン板できました :04/09/24 21:15:38 ID:q+NJfPlP
「やれやれだけが問題じゃないと思う」僕の言葉は話を遮る形となった。
「結局、村上春樹は絶妙のタイミングでその台詞をもってくるんだよ。
心象風景をどう表現するか、そしてそれをどう受け止めるかによって
評価は変わってくるだろうし、君の書いた文章と他人の文章との出来を比べても
不毛なだけのような気がすると僕は思う。 もし君の書いた文章に誰かが嫌味を感じたなら、
それは君の力不足なんじゃないかな」
彼女からの返事はなかった。そこには午前一時の小雨のような沈黙があるだけだ。

「バランスの問題だよ。掲示板の向こう側の人間もやれやれだけが村上春樹じゃないことはよく知っている。
書き込む人、ロムの人の危ういバランスが崩れると、煽りや中傷が始まるんだ。
それは一般的に依存しあっているだけなのかもしれないけれど。やみくろもそれをよく知っていると思う」

「ねじれの位置」彼女は言った。
「中学の幾何で習ったわ。あなたと私は、つまりねじれの位置にあるのよ」

その後いくら待っても彼女からの応えはなかった。
僕は諦めてぺペロンチーノの残りを食べていると、ノートパソコンが鳴った。
「仕方ないさ。君はよくやった方だよ」
メッセンジャーに浮かび上がった文字を書き込んだのはそれまでの彼女のはずはなかった。

102 :名無しさん@生活サロン板できました :04/09/25 03:37:46 ID:YVU8VGFm
OKわかった認めよう

僕は 長文が 嫌いだ

103 :渡部 :04/09/26 21:05:22 ID:P5yl1/IU
>>102
き、きみがそういうことをいうからなんだな。
ほら、99はもうか、帰ってこないんだ。
き、きみには な、なんにもわかっちゃいないんだ。

115 :名無しさん@生活サロン板できました :04/10/09 22:05:49 ID:1ELeNqpy
今日はほんとうにひどい日だった。
朝から苦情の電話が鳴り続け、僕はそのひとつひとつに注意深く対応していった。
ある人は最初から最後まで怒鳴り続け、またある人は言葉の中に意地悪くトラップを張る。
そうした罠をくぐり抜け、和解や謝罪の結末へ導く。それが僕の仕事だ。
僕は複雑にからまりあった毛糸玉から、一本ずつ毛糸をほどいてゆくのだ。

一日分の、毛糸ほどき、でさえ、僕はひどく疲労してしまう。
今日はもうくたくたで、何もする気が起きない。
僕は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、のどに流し込む。
そのままベッドに潜り込むと、泥のような眠りがやってきた。
もう誰も僕の眠りをじゃますることなんてできない。
誰も。

127 :おさかなくわえた名無しさん :04/10/14 21:06:34 ID:hz6/fByQ
「ニートって楽しい?」と彼女が訊ねた。
「そりゃあ、働いたら負けかなって思うよ」
彼女はテーブルの上のグラスに手を伸ばして、ほんの一口だけリタリンを飲み、
ナプキンを一枚とって口を拭った。それからバンドエイドを注文した。

138 :おさかなくわえた名無しさん :04/10/26 14:41:38 ID:9GHu8RX9
ねえねえ、なんで村上春樹の文章は「私は~」とかの一人称が多いか知ってるー?
教えてほしい?どうしても?教えてあげない事もないよーん。
見たいキミはメール欄を参っ照!!だっーよん☆

139 :おさかなくわえた名無しさん :04/10/26 16:22:37 ID:TKIGodwR
「だっーよん」

僕は声に出してそれを発音してみた。
それはいささか困難ではあるが、不可能と言う事はなかった。
あたりは しん としていて、自分の声はやけに大きく感じられた。

140 :おさかなくわえた名無しさん :04/10/26 17:38:36 ID:L3ogkXQX
つまり、自分を主張しなければ維持できない程度のものと言う訳だ。
 奇行に頼っても内面が充実する訳ではない。
しかし、ほかに方法を知らない。

「だっーよん」

 背後には何時の間にか彼女が立って冷ややかな視線を投げかけていた。

「だっーよん」

もはや止めることもかなわず、モニタに写り込んだ彼女の視線にたえる。

「だっーよん」

 表示されているスレッドは勿論 "『村上春樹風』今日の愚痴"である
何故なら(略)

141 :おさかなくわえた名無しさん :04/10/26 19:36:31 ID:UtcvHoQq
>>139に習って、僕も声に出してみるべきかと思った。
しかしそうする事によって、僕がわりと真剣に大切にしてきた
ある種のものが、傷つき、壊れてしまうような気がした。
しかし、誰もが---多かれ少なかれ---そういった経験を経ているものだ。
声に出してみよう。僕はそう心に決め、手元のビールを飲み干した。
そう、僕は声に出して言わなければいけないのだ。

行動を起こそうとしたときふと、>>140の文章が目に留まった。
・・やれやれ、>>140の2行目と3行目はまるで司馬遼太郎のようじゃないか。

「まるで司馬遼太郎のようじゃないか」

声に出してみた。

143 :おさかなくわえた名無しさん :04/10/28 16:34:11 ID:x/3NSEt9
隣に座っている彼女は、熱心に被災地のテレビを見ていた。
地震によって命を失ってしまった人の親族には、多くのマイクが向けられていた。
レポーターたちはイベント会場に無料で入って来た中学生のように見えた。
まるで猿だ、と僕は呟いてみた。

「ああいう人たちって、そのうち誰にも相手にされなくなっちゃうと思うの」

僕は彼女の耳にそっと触れた。それは小さく、とてもすてきな形をしていた。
さっき出来たばかりの耳のようだった。

「十月の終わりの桜の樹みたいに?」彼女は肩をすぼめた。
「そうね、十月の終わりの桜の樹のように」

151 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/02 13:00:55 ID:WOTqp/fe
「あなたの事は、今でも好きよ。」
彼女は最後にそう言って、部屋を出ていった。
いつのまにか僕たちは、恋愛関係ではなくなっていたのだ。
たぶん長く付き合い過ぎたのだろう。
僕たちはもっと早くに結婚するべきだったのかもしれない。
あるいは、これで良かったのかもしれない。
僕は、ダイニングテーブルに腰を下ろし、
ゆっくりと煙草を吸った。
彼女の居なくなった部屋は、ひどく殺風景に感じた。
それはまるで、象の居ない動物園のようだった。。。

156 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/05 21:54:00 ID:xcYXedI3
「よれよれ」とTシャツは言った。

171 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/08 19:37:54 ID:JqushMo9
よく吉野家にいく。僕はとりたててケチな性格でもなければ、とりたてて牛丼が好きというわけではない。
ただ、僕の部屋から歩いて5分のところにある吉野家は、吉野家の牛丼の中ではいちばん美味い牛丼を出してくれる。
その日も僕は、澄んだ秋の空に誘われて部屋を飛び出し、まるでそうすることでしか生きていけないかのように、吉野家へ入った。
しかし、その日の吉野家はまるで、違った。
あまりに客が多く居た。あまりにも多くの人が居るので、そこが本当に吉野家なのか、当初疑った。
そこには、およそ街じゅうの低所得者層が集結していた。あるいは、低所得者ではないかもしれない。しかし、いずれにせよ彼らの牛丼を食べる姿を見れば、
ぼくはなんともやるせない気持ちになった。
僕は、ここが本当にいつもの吉野家なのかと疑ったので、上を見上げた。オレンジのパネルに「吉野家」と書かれているのか、確かめたかった。
確かに吉野家だった。そして、こう書き足されていた。「牛丼150円引き」。

僕のすぐ後に女の子が入ってきて、言った。
「馬鹿みたい。」
やれやれ。
なんだって、150円引きごときでこれほどまでに低所得者層が終結するのか。
「150円」と、僕は口に出して言ってみた。150円。
そして、自由競争下での値段の推移と需要の関係について考えてみた。しかし、一向に答えは見つからなかった。
気がつくと目の前の椅子では少なくとも中流階級とは思えない家族連れが牛丼を食べていた。
『一家揃って牛丼』と思った。

172 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/08 19:39:53 ID:JqushMo9
僕は生まれてこのかた一家揃って牛丼を食べたことは無かった。しかし、そのことがどれほど切ないふいんき(僕のワープロでは変換できないようだ)を持っているかを知っていたし、それは目の前で牛丼を食べている家族の一員である男の子も分かっていたのだろう。
僕は、彼らに「取引きをしないか?僕は君達に150円わたす。その変わりに君達はその席を空ける。どうだ?」と言った。
当然、そのことに耳を傾けるモノはいなかった。けれども僕は、それを言うことによっていくらか落ち着きを取り戻すことができた。
少なくとも僕の知っている吉野家は、もっと殺伐としているところだった。
まるでポルシェのコクピットに座るかのように、そこはストイックで、いつ死んでもしかたがない、そんな空間だった。
僕が店にはいって15分23秒経過して、ようやくU字テーブルの一番隅の席に案内された。となりには、この店の開店以降訪れた客の中でもっとも体重のある人間が座っており、彼は「つゆだく」を注文した。
僕は、「つゆだく」と、彼に聞こえないように声にだしてみた。そしてまるで、環境破壊についてのドキュメントを見たときのような、苦しい気分にさせられた。
なにしろ、「つゆだく」は、既に流行から一歩退いていたし、割り箸に米粒がくっ付かないという以外にメリットは無い代物だった。
だから、僕は「つゆだく」を頼んでおきながら、得意げな顔をしている彼を見て、とてもやるせない気持ちになった。
この世の中には、彼のように救いようのない悲しみを周囲に振りまくだけの人間がいる。僕はそのことを知っている。
そして彼はほんとうは「つゆだく」なんて食べたいわけじゃないのだ。ただ、「つゆだく」と言いたいだけなのだ。だけど、彼はそう言わずにはいられないし、店員もそのことを知っている。
そして僕はまた、自由競争下での需要と供給の相関関係について、ひとしきり考えた。
それからようやく、僕が注文を聞かれる番がやってきて、僕は「大盛りねぎだくギョク」を頼んだ。
ねぎが多めに入っていて、そのかわり肉は少量となる。それに玉子をつける。
こうすることで、かろうじて僕は吉野家の牛丼を「牛丼」としてたべることが出来た。いずれにしても決して「美味」とは言いがたいことには変わりはないのだけれど。

178 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/13 22:44:11 ID:v4hv3Mgl
ここ数年のことだ。時間が無くなってきたのは。
学生の頃は有り余る時間をもてあましていたというのに。
今では本を読む時間さえない。
僕の時間はどんどん減っている
まるでシマリスにかじられてしまったドングリのように。
「かりかり」
シマリスはかじりつづける。
「かりかり」。
僕にはもうどうすることもできない。
「アフターダーク」だってまだ読めずにいるのだ。
僕はあきらめて寝ることにした。
「おやすみ。」
しかしもちろん誰も答えてはくれない。
僕は深い眠りに落ちてゆく。それは僕がずっと求めていたものだ。
誰にも届かないことをしりながらもう一度つぶやいてみる。
「おやすみ。」

180 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/17 15:49:03 ID:GY/kRT9C
「大豆イソフラボン」僕は声に出してみた。
彼女はくすくす笑った。
「大豆イソフラボン」彼女は僕に続いて発音した。
彼女の方が大豆イソフラボンに相応しいトーンだった。
福井県あたりで日光をたっぷりと浴びた大豆からとれたイソフラボンが
その瓶には詰っているような発音だった。

「今なら、三本 五千円で買えますよ」
彼女は口元を左右に広げたまま、ほとんどその形状を変えず 機械的に言った。 
「五千円で」以降の言葉が少しだけ棒読みな気がしなくもなかった。
今までこの口調でどれだけの人間を呼びとめ、この台詞を言ったのだろうと考えると
彼女に太陽の光を少しだけでも浴びさせてあげたい気分になった。
向かいの棚の横からは、ミネラル・ウォーターのペットボトルを抱えた
三十代後半と思われる主婦が僕の方をちらりと見ていた。

いらない、と僕は答えた。

188 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/29 09:06:27 ID:Ea6Y98PL
新聞のテレビ欄みたいな正確さでやってきた夜の闇の中で
彼女の体はもう知識の泉のようだった。
僕はできるかぎり優しくその小さく硬いボタンを押す。

へぇ へぇ へぇ 

191 :おさかなくわえた名無しさん :04/11/30 10:57:37 ID:OQ9ktmEu
こんにちは 今日で十一月も終わりですね。

私は相変わらず お化粧と整髪料のに匂いがたちこめる満員電車にゆられながら会社に通っています。 
私の周りにいる同年代の女の子は満員電車がなければ、普段感じるストレスなんて
体育館のあの大きな重たいドアを開けるくらいのものなのにって言っています。
でも私は満員電車って結構落ち着くのです。あんなに狭い場所に何百人もの人がいるのに
時々聞こえてくるのは誰かの こほん という咳払いくらいです。
みんな目的の駅がくるまで、卵を生む前のウミガメみたいに目を閉じてじっと待っているのです。
私だけが周りの人をきょろきょろ見ていて、おかしいのは自分なのかもしれないって感じるほどです。

職場でお化粧のメーカーはどこが良いだとか、昨日の深夜放送のことだとか
気になっているセンパイのことを話しながら、マルコリーニのチョコレートを食べていると
いつの間にか些細なストレスなんて忘れてしまいます。
仕事自体はマニュアル通りにこなしてさえいれば何のモンダイもありません。
白いレゴ・ブロックを壁にして、最後に赤いスロープのブロックを
ちょこんと積み上げれば可愛らしい家が出来るのと同じです。

逆に自分で新しい方法を考えて作業をこなすと他の誰かに迷惑を掛けることさえあるのです。
そういうのって信じられますか?だから私は仕事にほとんど新しい知識なんてつかいません。
家を出るときにドクカイリョクとかソウゾウリョクとかは部屋に置いてきてしまうです。
職場に持ってくるのはお化粧についての知識だけです。 
もしかしたら電車の中のウミガメの人たちも同じなのかもしれませんね。

ちょっと愚痴っぽくなってしまいました。
今日はこのへんにしておきます。 さようなら

192 :ミシマくん :04/11/30 14:59:27 ID:FWaMBbJQ
村上春樹と角川春樹と村上龍の区別がつきません

197 :おさかなくわえた名無しさん :04/12/03 15:30:22 ID:sIGUVI3L
>>192
同意

ところで話変わるけど、携帯ゲーム機"プレイステーションポータブル(PSP)

 このPSPは、新規格UMD(ユニバーサルメディアディスク)というディスクを利用しており、そのサイズは直径6cmととても小さい(CDの半分程度)。 容量は1.8GBとなっている。
画面は4.5インチのTFT液晶で、480px x 272px(16:9)。MPEG4の再生やポリゴンも表示可能。外部端子として、USB2.0とメモリースティックコネクタが用意されているという。

この際、スク・エニもGBAからPSPに乗り換えたらどうでしょう。スク・エニの場合、PSPの方が実力を出しやすいような気がするんですが。
任天堂が携帯ゲーム機で圧倒的なシェアをもってるなら、スク・エニがそれを崩してみるのもおもしろいですし。かつて、PS人気の引き金となったFF7のように。

突然こんな事いいだしてスマソ…
GBAと比べてみてどうなんですかね?(シェアのことは抜きで)

199 :おさかなくわえた名無しさん :04/12/03 17:06:29 ID:fONkGz5N
僕は困惑していた。

僕の日常生活における全ての問題ははたして>197が
このスレの趣旨を理解しているかどうかにかかっているような
そんな気持ちにさえなっていた。
僕は少しでも感情をコントロールしようと(もっともそれは無理な
話ではあった)強く目を瞑った。暗転。

200 :おさかなくわえた名無しさん :04/12/03 17:24:20 ID:daid/ku+
これは、コピペなのよ

201 :おさかなくわえた名無しさん :04/12/03 21:46:52 ID:EH6PMYvE
コピーアンドペースト。君の細く、しなやかな指に力が入る。あの頃の君は言った。
「どうしてこんなすごい絵を文字でかけるのかしら。しかもあちこちのスレッドに全く同じ絵をかけるなんてどうかしてるんだわ。」

君に会うなんてほんとに久しぶりだ。誰が、君に右クリックの意味を教えたんだろうか。

202 :おさかなくわえた名無しさん :04/12/04 02:29:03 ID:9V+lK7WE
>201
誰かが教えるだろう、と、放置されるままになってる。
そんな些細なことがたくさん降り積もって、彼女を形ずくっているのだ。

207 :やみくろ :04/12/08 09:36:24 ID:Vr8caVEG
「そろそろ行くよ。」僕の向かいに座っている青年は、力無い声で呟いた。
少し驚いた僕は、彼に目線を移した。
青年は、皺一つ無いシャツに薄緑色のコットンパンツを履いていた。
それはいつも僕に、春の川原を思い出させた。
「そうか…。長いようで、とても早かったね。
 君が居なくなると、寂しくなるよ。」
「うん。でも、ルールだからね。すぐに慣れるさ。」
「今までありがとう。」
青年は黙って頷き、静かに部屋を出て行った。

僕は深々とソファーに座り、ただぼんやりと天井を眺めていた。
しばらくして、ドアをノックする音が聞こえた。
僕は青年が戻ってきたのかと思い、急いでドアへと向かった。
しかし、ドアの向こうには見慣れない男が立っていた。
頭髪は少し薄くなり、少しくたびれたシャツを着ていた。
「やぁ、よろしくな。」男はそう言うと、ズカズカと部屋の中に入ってきた。
何とも言えない嫌悪感を抱いたが、僕は黙って眺めていた。

やれやれ、どうやら僕も三十路と言う奴になったらしい。
「三十路…」僕は小さく呟いてみた。
しかしそれは、冬の空に浮かぶ雲の様に不鮮明で不確かな物だった。
僕は酷く疲れていた。

225 :おさかなくわえた名無しさん :05/01/19 16:36:09 ID:bhGXP0yN
彼女からのメールが途絶えて、そろそろ一ヶ月になる。

僕は彼女の顔を知らないし、彼女も僕の顔を知らない。
彼女について分かっていることは、ストレートな黒髪であることと
僕よりも年齢がふたつ下ということだけだった。

もともと、僕らはたいした話はしていなかった。
お互いの生活のことやピアノのこと、朝起きて見上げた空のこと、
小学校のときに嫌な先生に質問されたときのこと、
そんな他愛も無い会話を十一月から続けてきただけのことだ。

これから少しずつ互いの信頼を築いていくのだろうな、と考えていただけに
彼女の返信が途絶えてしまったことに僕は少なからず混乱していた。
僕はポインタを送受信のボタンに合わせて目を閉じ、十秒数えて送受信を
実行してから目を開けたが、もちろん彼女からのメールは来ていなかった。
僕は力無く首を横に振った。

会社を出た後に見上げる空も、テレビから聞こえてくる笑い声も
ひどく遠くに感じられた。どうしてかはわからない。
僕にかかってくる電話はここ数ヶ月 極端に減ってしまっていたし、
電話をかけようと思っても、これといった相手がみつからないのだ。
久しぶりに僕は心から孤独を感じていた。
結局のところ彼女もまた他人だったというだけのことだ。

「それではまたメールを出しますね。おやすみなさい。」

彼女の最後の文章は、夏休みのがらんとした教室を思い起こさせた。
僕たちに九月はもう来ないのだ。

235 :おさかなくわえた名無しさん :05/02/24 18:45:15 ID:VM0N8pEq
僕は今までの半年間をゆっくり思い起こした。

僕は部活を辞めざるを得なかった。
みんなが楽しそうに練習する横を足早に帰った。
塾では昔から通っているメンバーたちの馴れ合いが強く馴染める事はなかった。
帰りはイルミネーション祭りの終わった寒い町を一人で自転車で飛ばした。
僕に温もりを与えてくれたあの人は僕に飽きてしまったらしかった。
今日夕方送ったメールは届くことなく僕の元に戻ってきた。
あたたかい応援の言葉を求めても仕方ないことはわかっていたことだ。
こんなことはなんということはないのだ。

わ か っ て い た は ず だ 。



明日の日のために、僕はずっとがんばってきたのだ。
そうだ。余計なことは考えている余裕はないのだ。実に馬鹿げている。
僕は、余計なことを考えてはいけないのだ。


明日が、公立試験の本番だ。僕は今夜ちゃんとねむれるだろうか?

236 :235:05/02/24 18:48:41 ID:VM0N8pEq
あっ、すいません、あげちゃいました…。すいません。

238 :おさかなくわえた名無しさん :05/02/24 20:41:12 ID:HxYrxcgm
>>235-236
「間違ってなんかいないのよ」
彼女はドーナッツについている粉雪のようなグラニュー糖を指ではらいながら言った。
「235は間違ってなんかいない」
甘いその輪っかをひと齧りすると、彼女は続けた。
「このスレは一週間、いいえ、ひどい時は二週間も書き込みがないことだってあるわ。
そのことから考えても、彼がageたことは正しい判断と言えるのよ。あるいは―」
彼女の話に頷きながら、ぼくは彼女のつんと上を向いた完璧な形の鼻を眺めていた。
「こう言い換えることもできるわ。わたしは235を応援しているってこと。
受験を経験した人間なら誰だって、そう思わずにはいられないはずでしょう?」
ひとしきり喋り終えると、彼女は静かにパソコンのディスプレイを閉じた。

239 :235:05/02/24 21:49:47 ID:VM0N8pEq
「きっと叩かれているだろう」
そう思いながらスレをのぞいて見た。一体何をしているんだろう。
試験前日だというのに落ち着かずじっと勉強しているような気分ではない。
僕は>>238の書き込みを見つけた。

涙が出てきた。その書き込みを僕は何度も何度も読んだ。こんな僕を応援してくれている。
全てを出し尽くしてこよう。僕は強く思った。

「誰かに聞いてほしかったんだろう?応援してほしかったんだろう?」
頭の中で声がした。
「そうなんだろうか?」僕は声に出していた。

そうなんだろう、と僕は思った。


>>238。その存在は僕をこんなにも勇気付けてくれた。
ありがとう。
ありがとう、と僕は丁寧にドーナツの包み紙をたたみながら呟いた。
お気に入りのスレッドに、大好きな文体で僕宛に書かれたメッセージ。

242 :おさかなくわえた名無しさん :05/02/25 00:08:40 ID:fknDubmq
やれやれ、なんだって携帯電話なんてものを僕は持っているんだ。
語らない本音、その場限りの適当な相槌。
やがて僕は電話に出なくなった。
用事があるならメールを送ればいいだろう?
ちょっと応答すればいいじゃない、君はそう言うかも知れない。
オーケー、確かにそのとおり。君が正しい。
けれど正しいことが、時に僕の奥を蝕んでいく。
そうして僕は失い続けて、いま僕の携帯電話は鳴らなくなった。

「ねえおじさん、だったらなんでケータイなんて持ってんのよ」

縁側で足をブラブラさせながらその若い女の子は言った。

「なんていうかな、これは僕にとって、味噌汁の上に乗ったネギみたいなものなんだ」
「ネギ?」
「そう、ネギだよ。星の形のニンジンでもなければ、ハート型の麩でもない」
「・・・ねえ、なんだかよくわかんないんだけど、それって、なければないで、物足りないってこと?」
「ま、そういうことだね」
「ふーん、でも、嫌いなんでしょう?」
「そう、僕は電話が嫌いだ。でも君のショートパンツからのぞいた健康的な足ほどには好きになれないし、正午に響き渡るサイレンほどにも嫌いになれない」
「ふむ、なんだかややこしいのね」

243 :おさかなくわえた名無しさん :05/02/25 15:28:49 ID:O41nNxKS
「毛穴スッキリパック」
確かに彼女はそう言った。毛穴スッキリパック。
「ある意味ではビオレの商品は画期的だったといえるわ。
だって白いシートにずらりと並ぶコメツキバッタの卵みたいな角栓を眺めるのは快感だった。けれど」
夏休み最後の日の子供のように真剣な表情をして、彼女は黙り込んだ。
「毛穴スッキリパックは実は毛穴を広げる行為なのよ。そして広がった毛穴は元に戻らない。
角栓を取れば取るほど、また新たな角栓が出てきてしまう。
その繰り返しなのよ。永遠に終らないサークルゲーム」
彼女の話に耳を傾けながら、ぼくはカミュの小説の一節を思い出していた。
”ゆっくり行くと日射病にかかる恐れがあります。
けれどもいそぎすぎると汗をかいて教会で寒気がします”
僕らには、小鼻の黒ずみから逃げる方法などないのだ。

250 :おさかなくわえた名無しさん :05/03/08 21:04:40 ID:Ktvd7Wvf
「たとえば、僕が十九歳だったとする」

ふたたび彼が口を開いたのは、ふたつ目の駅を出発して間もなくだった。
車内には乗客がまばらにいるだけで、車輪のがたがたという音が響いていた。

「もちろん僕にも十九のときがあった。でもそれは一瞬のできごとにさえ感じる。
いや、実際に一瞬のできごとだったんだよ。
僕は大学にやっと慣れた頃だったし、アルバイトと女の子に夢中になっていた。
十九歳でいるってことは、そもそもそういうことなんだ。
だけど持っていた希望は測り知れなかったよ。信じられるかい?」

僕は吊り革を左手から右手に持ちかえた。
「もちろん信じるよ。君には希望に満ちた十九の頃があった」

彼はほんの少しだけ口元をゆるめた。
「こうやって昼間に仕事で電車に乗ると、ときどき考えるんだ。
そもそも十九の頃に乗った電車の中で、僕は何を空想していたのかって」

次の駅に近づき、電車はスピードを緩めた。
駅の手前の踏切で電車が通りすぎるのを待つ買い物途中の主婦が、
紙袋の中から何やらごそごそと取り出そうとしていた。
僕らは何も言わずにその動作をながめていた。

「とりとめのない話だな。三月にしてはいささか暖かすぎる
午後のせいかもしれない。結局今となっては思い出せないくらい、
ちっぽけな空想だったんだろう。ねえ、僕は少ししゃべり過ぎているかな?」

「よくわかるよ」
僕は穏やかに、淡々とした口調で言った。
中古車屋の看板が右から左へとゆっくり流れていった。
それから我々は、目的の駅が来るまでひとことも口を開こうとはしなかった。

252 :おさかなくわえた名無しさん :05/03/08 23:04:23 ID:ZxkJnLOL
とにかく僕は酷く疲れていたし、今すぐにでもベッドに倒れこんで眠りたかった。
背中に猿が三匹乗りかかって、好き勝手に喚いているみたいに疲れていた。
出来ることなら、携帯電話なんか二つに叩き割って、ハードでタイトな眠りに落ちたかった。
でも、ある種の予感の通りそれは出来なかった。友達が死んだのだ。

オーケイ、認めよう。僕は疲れている。その上酷く混乱している。
氷と一緒にシェイカーの中に放り込まれたみたいに混乱している。
だって、そんなことは当たり前なのだ。僕は彼と、一昨昨日一緒に酒さえ飲んだのだから。
生と死の間には、深くて冷たい川が流れていて、それがレンズみたいに作用するように思える。
歪ませるのだ。リアルな形で、死は僕に提示されていない。だから僕は酷く混乱している。
悲しみの前の歪な感情が、まだ未分化なままで心の辺土から溢れ出している。
何だってネタスレでこんな話をしなきゃならないかもわからない。
とにかく、僕は酷く混乱しているし、とても疲れている。とても、とても疲れている。
もちろん眠ることなんか出来やしない。

256 :おさかなくわえた名無しさん :05/03/09 23:19:06 ID:kNYdkICe
「うんこちんちん」
彼女は寂しげに呟いた。
「ダメだわ、なぜか加藤茶があらわれないの」
「わかるよ」
僕は穏やかに、淡々とした口調で言った。





257 :おさかなくわえた名無しさん :05/03/10 01:21:01 ID:Kyx6aB7j
>>256
「あなたは何もわかっていないんだわ。
今のご時世『ぺ』がどんな意味を持つか」

262 :おさかなくわえた名無しさん :05/03/12 12:39:57 ID:QRtG7Lnl
「スピードに溺れて泳ぎまくるトドのようなものね」
いつも彼女の喩えには皮肉が含まれているように思えるけれど、
手をぐるぐる回して泳ぎまくるトドを想像しているうちに、
それはどうにでも良く思えてきた。実際にトドなのだ。
海豚よろしくスマートでもなく、鯨のように繊細でもない。
ましてや鮫なんて喩えをされたならば、目の前が真っ暗になっただろう。

眼前に青い世界が拡がり、音は丸くポロポロと零れはじめた。
隣で微笑む彼女はすっかりジュゴンだ。僕にはお似合いじゃないか!
求愛を始めたジュゴンを振り切るように僕はスピードを上げる。
恋に落ちる速度よりも速く、身体を切り裂く波に挫けないうちに、
水の抵抗を最小限にまかなえるよう肩を閉じ、アクセルを捻る。
そうだ。この感覚だ。

273 :おさかなくわえた名無しさん :05/03/17 12:56:00 ID:I0ClF5VJ
ある雨の夜、僕はスーパーマーケットで豆腐を選んでいた。
「シュー・クリームはどこにあるのかしら」
いきなり、僕の真後ろでオバサンが大きめの声の独り言を言った。
入り口正面のとても目立つ場所に、特売のシュー・クリームが山積みにされていたのを僕は覚えていた。
でもオバサンは奇妙な感じがしたし、僕は親切な人間ではない。
僕は何も言わず、そっと豆腐売り場とオバサンのそばを離れた。

しかし数分後、米・乾物売り場で米を選んでいた僕のそばにオバサンは再びあらわれ、
「シュー・クリームはどこにあるのかしら!」と叫んだ。
彼女はまだシュー・クリームを探し出せていなかったらしい。
何故店員に尋ねず、菓子コーナーにも行かず、関係のなさそうな売り場をさ迷うのだろう?
僕は気味が悪くなり、米を諦めてレジに並んだ。
しかし僕が会計をしてもらっていると、オバサンが「あかふじ米」10kgの袋に向かって、
「こんなところにいたのね…」と嬉しそうに話しかけているのが聞こえてきた。
…お前はシュー・クリームを探していたのではなかったのか?
僕はそう問い掛けずにはいられなかった。

デンジャラスシティー・オオサカ、そこは米を選ぶのすらも命がけの街。

295 :おさかなくわえた名無しさん :2005/05/12(木) 00:39:04 ID:ulUD1Cwc
お気に入りのスレを開き、今日も新しいレスが無いのを確かめると
小さなため息をひとつついて、僕はマッキントッシュのノートを閉じた。

横で寝ている彼女を起こさないようにそっとベッドを抜け出して
冷蔵庫から500mlの牛乳パックを取り出し一気に胃に流し込む。

ちょうど半分辺りまで来たところでベッドの中の彼女がつぶやいた。

「プウ」

やれやれ、彼女は寝てなんかいなかったのだ。

僕は鼻から出た牛乳をティッシュでふき取り
びしょぬれになったシャツを脱いで風呂場に向かった。

296 :おさかなくわえた名無しさん :2005/05/12(木) 09:26:54 ID:wHitFvoJ
僕は彼女の頭の上にペニスをのせた
「ちょんまげ」
やれやれ、今日も同じような一日になりそうだ。

302 :おさかなくわえた名無しさん :2005/05/21(土) 19:47:58 ID:LVDbV1Kw
私は今週、多分何百回目かになるため息をついた。
明日は夫の会社のバーベキュー大会に参加しなくてはいけないのだ。
やれやれ、なんで会ったこともない人達と
火を起したり、肉を焼いたりしなくちゃいけないんだろう?
それも、いかにも「楽しそう」に。

重い気分をかかえて、洗濯機を回し、朝食の後片付けをしていると
会社にいる主人から電話がかかってきた。
「今晩××のラーメン食わしてやっから」彼なりに気を遣っているのだ。
電話を切って、私はまた新しいため息をついた。
ラーメンは嬉しいが、私のいつもの怠惰で優雅な日曜日が、皿に載って戻ってくる訳ではないのだ。

304 :おさかなくわえた名無しさん :2005/05/23(月) 19:38:53 ID:sRpz62du
「どうして火を起こすことを楽しいと思う人が、この世の中にこうもたくさんいるのかしら」
彼女は器用にメンマを避けながらラーメンを食べつつ呟いた。
「さあね。原始的な欲求かなにかだろ。それか、ただ腹が減ってるか」
僕はたいして食べたくもないラーメンを見つめながら答えた。
やれやれ、今週に入って5回目のラーメンだ。
いい加減味のヴァリエーションも尽きてくる。
それを彼女に告げると、
「ねえ、あなたってなにを食べてもそういう風に考えるの?
今週に入って何回目のなんとかだ、って?それがあなたの強迫観念ね」
と不思議そうな顔をして言われた。
「じゃ君は何も感じないのかい?たとえば毎日バーベキューすることを考えてご覧よ」
「そうね、私なら『これは私の人生で最後のバーベキューだ』って自分に言い聞かせながら食べるわ」
「君って案外自己欺瞞が上手いんだね」
「そうね。でも自己欺瞞をし続けているとそれはいつか真実になるのよ。そう思わない」
僕はなんと答えていいのか分からなかったので、黙ってラーメンのスープを飲み干した。

322 :おさかなくわえた名無しさん :2005/06/24(金) 20:43:21 ID:MqfnDFOv
「あなたは娘と結婚する気はあるの?」
と、彼女は言った。彼女という表現はあるいは間違っているかもしれない。
なぜなら僕の目の前に座っているのは僕の彼女ではなく、彼女の母親だからだ。
僕はまだそういうことは考えていない、と答えた。
「それではなぜ娘と付き合っているのかしら?」
やれやれ。この人は何もわかっていない。僕はゆっくりと、慎重に語り出した。
「付き合うことに意味なんてないんです。今が楽しければ、それでいいんです。
なにしろ僕は就職なんて死んでもしたくない。そう、死んでも嫌なんです。
だから、彼女には悪いと思うけれど僕と結婚して幸せになれる保証なんてない。」


僕はそう言い終わって気付いた。これは夢なんかじゃない、現実に起こっていることなんだ。
慌てて前を見るともう彼女の母親は姿を消していた。

330 :おさかなくわえた名無しさん :2005/06/26(日) 11:05:13 ID:yAbc2cXV
こんな今にも溶け出しそうな暑さの日曜日にも仕事をしなきゃあならない。本当に、もううんざりだ。
誰もいない事務所の片隅で私は昼下がりの猫のようなあくびをひとつした。
仕事の片手間に2ちゃんねるをしているのか、2ちゃんねるの片手間に仕事をしているのかわからないこんな日は、
このスレッドを覗くことにしている。
それにしてもこの人たちは春樹の文庫を片手にこの文章を書き込みしているのだろうか?
そんなことを考えながら私もキーを打つのだ。すっかり忘れてくしゃくしゃになった春樹の文章を思い出しながら。
やっぱり一人称は僕がいい。

332 :おさかなくわえた名無しさん :2005/06/27(月) 06:58:39 ID:DG7IiArF
携帯電話から2ちゃんねるを利用する人間は決して少なくない。
僕もまたそのひとりだ。

僕らは差別されていることを知らなければならない。
そして差別されたくないと思うならば携帯電話からアクセスしていることを悟られてはならない。あらゆる手段を講じて。
(さもなくば「携帯厨」という少なからず不愉快な名前で呼ばれることになる)

「不当な差別」とあなたは言うかも知れない。
僕もそう思う。それは不当な差別である。
携帯から書き込んでいるというだけで、何故そんな風に滅茶苦茶にやっつけられなければならないんだろう?

だけど、とにかく僕らは差別されている。
僕らがどんなに「差別しないでくれ」と叫んでみても、差別はなくならない。
国会議事堂の前に新聞紙を敷いて何も食べずに座り込んでみても、
「携帯2chユーザー・決起OFF」を企画して秋葉原をデモ行進してみても、
差別はそう簡単になくなるものではない。
物事はそううまく流れてくれない。

たとえ僕らが正しくて、世界が間違えていても
僕らが世界に住まう限り、僕らは世界に従わなければならないのだ。

333 :おさかなくわえた名無しさん :2005/06/27(月) 13:27:15 ID:F7W538/w
あのね、携帯で書き込む人たちって尽く改行ってものをわかってないのよ。
楽しくスレッド読んでふんふん、なんて思ってる時に金魚のフンみたいに
だらだら横に繋がった文が目に入ると誰だって読む気がなくなるじゃない。
ねえそうでしょ?
そりゃその辺わきまえてる携帯ユーザーだっているわよ。でもそういう人達は
そんな主張すらしないの。あの人の言う世界だかなんだかに溶け込んでるのよ。
だってそうでしょ、自分が新しいもの持ち込んでおいて、
upされた画像が見れないだの書き込まれたURLに飛べないだの
主張するからみんな怒るんじゃない。冗談じゃないわよ。

334 :おさかなくわえた名無しさん :2005/06/27(月) 20:09:02 ID:4N9g5qSV
僕は携帯の画面を眺めたり見つめたりしてしばらく考え込んでいた。
やはりパケット定額制は彼女のひんやりしてツツルンとした肌ぐらい魅力的に思えてならない。
だからもう一度聞いてみる。30文字前後で改行した僕いびつな思いは、未だ君にとって直線に進むだけの
単調なものにしか見えないかい?

343 :おさかなくわえた名無しさん :2005/07/16(土) 09:24:14 ID:R2QmQvKr
商店街をぶらぶらしていると、時節柄ウナギの広告がやたらと目に入ってくる。
「蒲焼き!」「鰻丼!」「鰻重!」
甘いタレをたっぷり塗られたウナギたちは、幸福そうに湯気を立てている。

僕もたまには腹一杯ウナギを食べたいと思う(ウナギはナカタの好物であります)、
しかし何しろ僕には職が無く、ろくに金が無いのでその願いは叶わない。

ここ最近は僕の空腹は、コンビニエンス・ストアのおにぎりだとかカップラーメンだとかで埋められていく。
ジャンクフードで満たされる空腹。そこには無能な王に治められた国家みたいな悲哀がある。

「働かざるもの食うべからず」、君は言うかも知れない。
その通りだと思う。まともなものが食べたいならまともな仕事を探してまともな稼ぎを得ればいい。
そんなことは僕にだってわかる。だけど(ご存知の通り)物事はそううまくは運ばないものなのだ。…

346 :おさかなくわえた名無しさん :2005/07/21(木) 18:47:26 ID:iM3f8NP7
やれやれ、なんだってこんなに暑いんだろう。
いったい僕が何をしたって言うんだ?

汗は意志を持った生命体のように僕の毛穴から次々に這い出してくる。
僕の体をびっしりと覆い尽くし、皮膚呼吸の機会を奪おうとしているみたいだ。
ジーンズは忌々しく湿り、買ったばかりのヘインズのTシャツには絶望的なしみが出来ている。

350 :おかさなくわえた名無しさん :2005/08/02(火) 00:15:04 ID:xHGra7eA
 家に帰り、まず冷蔵庫を開けた。
僕にとって、冷蔵庫に何が入っているかはそれほど重要なことではない。
むしろ、冷蔵庫を開けること自体が目的なんだ。
残り物のポークカツレツを取り出し、AMラジオをつけた。
保温してあったご飯は、幾分固くなりはじめていた。
もう一度冷蔵庫を開け、ローファットのミルクを取り出しグラスに注いだ。
僕は、一気にそれらをたいらげた。

 数時間後、急にお腹が痛みだした。
電気をつけていないトイレの中は真っ暗だった。
僕にとって、トイレが明るいか暗いのかなんてどうでもよい問題だったんだ。
次第に上下左右の感覚がわからなくなり、重心がグラグラとしてくるのを感じた。
トイレから出ると、デジタル時計は23時28分を示していた。

355 :おさかなくわえた名無しさん :2005/08/06(土) 06:54:37 ID:Me+UF+Wd
今日は合コンだった。合コン。バイト先の先輩に誘われたのだ。
「おいムラカミこのあとあいてるか」
「空いてますよ」
いつだって予定なんか無い。僕はしがないフリーターである。
「飲み会に行かないか?お前と話したいって子がいてさ」
正直にいって、僕はかなり嬉しかった。酒は強い方ではないが、たまには女の子と
喋り、若者らしく夜遊びに興じる。たまにはいいだろう。

その女の子というのは25歳という。しかし外見は30くらいにも見える。
初対面同士の気まずい空気。気まずい会話。僕は後悔した。自分の人生を消費している気がした。
やれやれ。どう転んでも僕の人生はこの程度でしかない。
もっと会話が面白くできれば。酒が強ければ。明るい性格であれば。
いや、この場でそんなことを考えてもしょうがない。
僕は目の前のジントニックを飲み干した。ひどくさみしかった。

360 :おさかなくわえた名無しさん :2005/08/27(土) 15:14:25 ID:ivFMfHAU
蝉の鳴き声で目が覚めた。
蝉達は鳴き声の大きさを競っているかのように、次々と鳴きだす。
やれやれ、と僕は思った。

冷蔵庫からアイスコーヒーを取り出し一口だけ流し込む。
冷たい黒い液体が食堂を通るのを確認し、顔を洗う。
僕は顔もろくに拭かずに窓からいつもと変わらない景色を眺めた。

蝉は単調に鳴き続けている。
でも僕は一匹たりとも蝉を確認することができない。
空には千切れ雲がゆっくりと流れていく。
まるで地上にある何かを探しているかのように、ゆっくりと。

361 :おさかなくわえた名無しさん :2005/08/27(土) 21:28:38 ID:/7Ga1xfG
>食堂を

362 :おさかなくわえた名無しさん :2005/08/28(日) 20:18:36 ID:bWkg3gWk
>冷たい黒い液体が食堂を通るのを確認し

なにその心霊現象

365 :おさかなくわえた名無しさん :2005/08/29(月) 16:41:38 ID:8bCrIQWN
「いずれにせよ」
PCの電源を切ると彼女はつぶやいた。
「いずれにせよ、スレが盛り上がるのはいいことだわ。
たとえそれが些細なタイプミスによる盛り上がりだとしてもね。
だってこのスレときたら、いつだってDAT落ちすれすれ」

494 :おさかなくわえた名無しさん :2005/09/17(土) 11:55:37 ID:JXM5dduP
いつもの駅の、いつものコンコース。
普段は当たり前の風景すぎて、殆ど気にとめる事もなかった。

優美な組天井に配置された、荘厳なステンドグラス。
オレンジ色のシャンデリアの光に灯された、円い天井。
麒麟、鳳凰、うさぎ、三本足のカラス、獅子、天馬。
やれやれ、僕ときたら
彼等の存在すら、こんな事になるまで気付かなかった。

僕はただ、今日中に仕上げないといけない仕事のことや
なかなか来ないメールの返事のこと、今晩の夕食のことやなんかを
とりとめもなく考えながら、漫然とそこを「通過」していただけだったのだ。

かけがえのないものはいつも
「二度と絶対に」取り戻せなくなって、初めて気付く。
それが「あたり前の風景」であったことが、どんなに贅沢なことだったのか
無機質で無愛想なフェンスに囲まれてから、ようやくそのことを思い知らされるのだ。

505 :おさかなくわえた名無しさん :2005/10/01(土) 00:25:36 ID:nvn8/oiz
蚊取り線香の様ないつ終わるともしれなく続いた夏期休暇が終わり、
その日僕は、就職活動ガイダンスというこの世で最も面白くない行事を
冷えたコーヒーを無理やり飲み込むようにしてやり過ごす事になった。

さっきから就活指導教員は、就活における注意事項をドミノでも並べるかのように順序立てて説明している。
「就活で重要な事になるのは、自分を分析・理解し、自分のセールスポイントを相手に解りやすく伝える事です」
やれやれ、と僕は思った。
口だけで言うのは簡単な事なんだ。
口に出しただけで事が進むのなら、スパゲティを上手く茹で上げる事も、猫とワルツを踊る事もできる。
問題はそれをどう実行するかという事なんだ。

僕は、隣であくびを噛み殺している彼女にその事をたずねてみた。
「私はね、全ての事象において『可能』な人と『不可能』な人がいると思うの」
と彼女は答えた。
「『可能』と『不可能』?」
「そう。『可能』な人は『可能』の道を進み、『不可能』の人は『不可能』の人は道を進んでいくの。
そして、その進んだ先で更に『可能』と『不可能』の分かれ道が用意されている。
一人一人の人間は、その道を交わる事無く扇子の骨組みたいに放射状に進んでいくの。
ねえ、私の言ってる事、わかる?」
と彼女は聞いた。
「わかる気がする」
と僕は答えた。

オーケー、認めよう。
僕はきっと『不可能』の道を進む人間なんだ。

506 :おさかなくわえた名無しさん :2005/10/01(土) 14:58:28 ID:OyhqZgpa
そういう人間がいても悪くない。

そして、そういうキミがジャズの聴ける喫茶店をやりながら
夜中にキッチンのテーブルで小説を書き始めるかもしれない。

そう、誰かさんのように。



『村上春樹風』 今日の愚痴  下



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