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2006-05-02

クイズの時間

【夢・独り言】クイズの時間

1 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 02:37


「ファイナルアンサー?」
意地悪く微笑むみのもんたの前で、桂木は真剣に考えていた。
間違いない。答えはゴールド・ラッシュだ。ああ、間違いないとも。
これが正解だったら一千万円なんだ。借金も返せる。妻ともよりを
戻せる。絶対だ。絶対だ。

「ファイナルアンサーで」
「答えは、Dのゴールド・ラッシュでいいんですね?」
「はい!」


沈黙が降りる。会場の視線が突き刺さる。神よ。神よ、
俺を救うんだ。

みのもんたは不敵な笑みを浮かべ、言い放った。
「ざ・ん・ね・ん!」

終わった……。ふーっと会場からため息が漏れる。
桂木の最後の記憶はそれだった。次の瞬間には、みのもんた
の放った銃弾が、桂木の頭を打ちぬいていた。
2 名前: 夢見る名無しさん 投稿日: 02/03/20 02:41
(゚Д゚≡゚Д゚)?(゚д゚)ポカーン

4 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 02:47


「おい、どうなってるんだよ! こんな演出あったか!?」
ディレクターの小津は、編集室で大声をあげていた。
「い、いえ、私は聞いてませんが」
「みのさん、あんなもんどっから出してきたんだよ!
もういい、スタジオに行く! お前はここを見てろ!」


そう言い放つと、小津は編集室を飛び出した。


スタジオには不気味な沈黙が降りていた。硝煙の匂い。
みのもんたの放った銃口から、煙が上がっている。
「おい、カメラ止めろ!」
小津はスタジオに入るなり、スタッフに叫んだ。そして、
みのもんたの方を向き直る。
「みのさん、これは一体どういうことですか?
それに、この匂い……。まさか」
「ああ、これは本物の銃よ。スミス&ウェッソンのM629
44マグナムってヤツだ。ちなみに、六発しか打てないなど
と思わない方がいい」

みのもんたはそういうと、上着のポケットを漁った。そこに
は、夥しい数の銃弾が合った。
「全部で120発ある。会場の皆様も、動かないほうがいい。
私はグァムに行くたびに射撃練習をしているのだからね。こ
の距離ならば、確実にこの男のようになる」

みのもんたはそういうと、桂木の死体を見下ろした。きれいに
額を打ち抜かれている。血だまりと脳漿。小津は思わずうめいた。
「みのさん、貴方は」
「パニックになる前に行っておこう。犠牲を覚悟で私を止めよう、
などとしないことだ」

みのもんたはそういうと、上着を脱ぎさった。そこには、何十本
ものダイナマイトが巻かれていた。
「これの意味はわかるな。一人でも動いた時点で、我々は全滅だ」
みのもんたは不敵に笑った。

「さあ、クイズを続けよう」

6 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 02:55


どうしてこんなことになっちゃったのよ。
どうして、どうして。

松井は彼氏の優しい笑顔を思い出していた。高校のときから付き合っている
ヒロ君。先週はディズニーランドに行った。チュロスを二人で分けて食べて、
パレードを見ながら甘いキスをした。幸せな生活が続くはずだった。幸せな。

「挑戦者は、東京都からお越しの松井さんです!
松井さんは今、大学3年生?」
「は、はい、そうです」
「そんなに緊張しないでいいですよー。なんと東大からお越しの
方です。凄いですねー。これは期待大ですね」
「……はい」
「じゃあ、早速行きましょうか。第1問」

7 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 03:03
松井→絵美に変更。




絵美は順調にクイズに答えて行った。みのもんたが銃口を
つきつけている、極度の緊張状態の中で、冷静に記憶の戸
棚を開いていた。

「第8問。
全世界で大ベストセラーとなった、「ハリー・ポッター」
シリーズの作者は誰?

ネビル・シュート
J・R・R・トールキン
J・K・ローリング
マルセル・プルースト」


ああ……わからない!
私は理系なのよ。本なんか読まないし、映画も見ないし、
でも、でも、

答えなければ殺される!

「どうしました? 考えこまれてますねー。ライフラインは
まだ3つ残っていますよ。1つくらい使ってみますか?」

みのもんたが囁くように言う。
使うべきか、使わないべきか。使えば、確実に答えられそうな
気がする。でも、後半にとっておかなくてはいけないのではな
いか。間違えたら殺されるんだ……。

そのとき、絵美はひとつの案を思いついた。

8 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 03:10


「テレフォンをお願いします」
絵美は言った。みのもんたは、恋人を見付けたときの悪魔のような
微笑を浮かべた。
「テレフォンですね。今回はどなたをお呼びしているんでしょう」
「は、はい。彼氏と、その友達を」
「まーなんと彼氏持ち! 才色兼備ってやつですねえ。うらやまし
いですね!」
「……」
「ちなみに彼氏のお名前は?」
「はい。ヒロ君です」
「じゃあお呼びしましょう。ヒロ君!」

「……はい」
「松井絵美さんの彼氏のヒロ君ですね?」
「あ、はい。そうっす」
「松井さんは現在、8問目です」
「おー、すげー!!」
「では、早速行ってみましょう。テレフォンタイムは三十秒です。
松井さん、どうぞ」
「ヒロ君、助けて! この人は人殺しよ! 警察を呼んで! 早く、
早く!」


銃声とともに、絵美は倒れた。今回の死体も、綺麗に額を打ち抜か
れていた。
「ルール違反はいけませんねー。それに、お嬢さん、警察はもう
来てますよ」

みのもんたはそういうと、スタジオの入り口をみた。
「馬鹿なお嬢さんだ。普通にやってれば、何万分の1かは生還
できたかもしれないのにねえ」

そういうと、銃口を解答者たちに向けた。
「さあ、皆さん、クイズを続けましょうか」

9 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 03:22


みのもんたの言葉通り、警察は既にやってきていた。
捜査1課のプロフェッショナルから、機動隊、狙撃犯、爆発物処理犯か
ら公安のネゴシエーターまで、入り口に配備されていた。ただ拳銃を
振り回しているだけの素人ならば、5秒で鎮圧できる精鋭ぞろいだ。

「厄介ですなあ」
編集室。
臨時捜査主任の阿部は呟いた。小津が、遠慮がちに答える。
「厄介、といいますと……」
「ダイナマイトですよ」

阿部はモニタに向き直った。そこには、みのもんたが桂木
を殺してからの一部始終が、ループされて流れている。
「ここで止めてもらえますか」
みのもんたが上着を脱いだシーンで、VTRは止まった。
「これを見てください。見たところ、三十本以上のダイナ
マイトを体に巻きつけている。これが爆発したら、この
テレビ局ごと、東京湾の藻屑になりかねません」
「そ、それだけは」
「もちろん、そんな事態にはさせません。ただ、非常に難
しい状況であることを判っていただきたい。射殺するに
も、確実に頭に当てなければいけない。頭は標的として難
しいんですよ。首をかしげただけで外れてしまう。そして、
少しでも軌道がずれたら、ドカンです」
「ど、どうすればいいのでしょう」
「とりあえず、犯人は何を要求しているのでしょう?」
「わ、わかりません。交渉どころではなくて」
「それを聞かない限り、なんとも言えませんな。テレビ
局ジャックなんて、世界の犯罪にも類例がないでしょう
から」

そのとき、編集室に若手のADが飛び込んできた。
「た、たいへんです、小津さん!」
「どうした」
「みのさんが、みのさんが……番組の生放送を要求しています!」

10 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 03:31


「もう一度言いましょう。もうすぐ7時になる。この番組の
生放送を要求します」

断固としてみのもんたは言い放った。そして、上着のポケッ
トから四角い箱を取り出した。
「これは携帯テレビだ。これで確認させてもらうよ」
「し、しかし、みのさん。あなたも業界人ならわかるでしょ
う? そんな話は無理だ」
「ならば、テレビ局ごと潰して放送できなくさせてもいいん
だよ、小津君」


みのもんたは判ってるな、といわんばかりの表情で小津を
睨んだ。小津はつばを飲みこんだ。
「みのさん、貴方の希望はなんなんですか? 金ですか」
「失礼なことを言うもんじゃない。それはおいおい、話し
て行こう。今は番組の生放送が先決だ。とっとと上の人間
とかけあってきたまえ。それから」
「はい」
「私は防弾チョッキを着ている。スタッフにまぎれて私を
狙うのもいいが、しっかりここを狙わないとドカンだ」

そういうとみのもんたは、ダイナマイトをふたつとりだし、
それぞれ側頭部に巻きつけた。
「もっとも、頭を狙ってもドカン、になってしまうけどね。
ハハハハハ。ハハハハハハハ! さあ、行け!」

小津は慌ててスタジオを飛び出す他、なかった。

15 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 03:56


タレントのみのもんた容疑者が、番組収録中に2名を射殺。
100名以上の人質を取り、スタジオに立てこもっている。

この悪夢のようなニュースが一報されてから、日本中は
その話題で持ちきりだった。各局、お台場に聳え立つテレビ
局の前から中継を行い、ネットでは伝聞、憶測が恐ろしい
勢いで広まった。

もちろん、当のテレビ局がこのスクープを独占する形になっ
た。カメラはスタジオのすぐ外にまで迫り、緊迫した空気を
伝えていた。
だが、中に入ることはできない。
死体が転がっている。それどころか、人殺しショーを生で
全国に放映することになってしまう。いくらテレビが刺激を
求めているからといって、そこまでやるのはやりすぎだ。

というのは建前だった。
テレビ局の上村社長は、番組を生放送することに賛成だった。
もともと、抗議が怖くて、生放送に踏み切れなかったのだ。
犯人が要求している。これで、人質の命を救うためという大
義名分ができたのだ。

「小津君、私が責任を持とう。7時から、あの番組の生放送
を行う」
「しかし社長」
「今の視聴率はどれくらいだ?」
「恐らく、80%を超えているかと」
「充分だ。スポンサーは全部下ろせ。コマーシャルはなしだ。
なあに、幾らでも回収できるさ。それから、テレビ局内の職員
を速やかに避難させろ」
「その手配は行っています」
「そうか。では私も逃げるとしよう。現場は君に任せたよ、小津
君。テレビ局史上、最大のイベントだ。しっかりプロデュースし
てくれたまえ」


編集室に帰ってきた小津は、阿部に向かって言い放った。
「どいつもこいつも腐ってますよ」

16 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 04:01


【衝撃】みのもんたが2名射殺! スタジオ立てこもりPart14】

1 名前:名無しさん :02/03/30 18:59
ソースはテレビ局つけれ!

2 名前: :02/03/30 18:59
みのワショーイ!

3 名前: :02/03/30 18:59

今だ!2ゲットォォォォ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄       (´´
     ∧∧   )      (´⌒(´
  ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
        ̄ ̄  (´⌒(´⌒;;
      ズザーーーーーッ


4 名前:Neo麦茶 :02/03/30 18:59
祭か? 祭なのか!?

5 名前:名無しさん :02/03/30 18:59


6 名前:名無しさん :02/03/30 19:00
>1 
オツカレー


7 名前:名無しさん :02/03/30 19:00
おい、フジテレビで生放送始まったぞ!!(w

8 名前: :02/03/30 18:59
フジテレビで生放送開始。祭だ!


22 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 11:15
10

「お茶の間の皆さん、こんばんわ。クイズ・ミリオネア!
今夜は特別版でお送り致します」


まるで「八つ墓村」の犯人のように、ダイナマイトを頭にくくり
つけたみのもんたがブラウン管に登場したのは、きっかり7時だ
った。歓声も、拍手もない。BGMもない。終始馬鹿騒ぎをして
いるテレビを通して、これほど重く、質量の高い沈黙が提供され
たのは、恐らく初めてではないだろうか。
「まずは、「世界プルルン滞在記」を楽しみにしていた皆さん、
すみません。本来は通常の「ミリオネア」枠でやりたかったんで
すよ。でも、収録が今日だったもんでねえ。まあ、あんな糞番組
見てる人はいないでしょうし、ディレクターも一緒ですから、
構いませんよね!」

みのもんたはスタジオに向けて言い放った。編集室にいる小津は、
ゴクリとつばを飲みこんだ。
「始まりましたねえ」
阿部が呑気な声で言う。
「テレビを通して生で殺人ショーが放送される時代なんてねえ。
あの、飛行機がビルに突っ込んだときよりもよっぽど面白くて
刺激的だ。フジテレビとしてはバンバンザイですか?」
「言葉を慎んでください」
「ところで、彼はいつまで生放送をしろ、と要求しているんで
すか?」
「わかりません。恐らく、正解者が出るか、もしくは」
「全員殺されるまで、ですか」

24 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 11:50
11

「では、特別版のルールを説明しましょう」
みのもんたはそういうと、拳銃を懐から取り出した。
「基本的には、通常のルールと一緒です。15問正解したら
1000万円、ライフラインも3つ使うことができます。
ただし」

恋人の顔を見つめるような、愛しい目で、みのもんたは
S&Wを眺めた。
「間違った時点で、解答者は射殺されます。既に、2名
の方がおなくなりになられています。ご冥福をお祈りし
ます」

みのもんたが1カメに向かって、拳銃を振った。死体を
映せ。カメラマンは吐き気をこらえながら、死体をアッ
プにした。
「また、私を無理やり止めようとすると、ダイナマイト
がドカン。ここにいる人はまず助からないでしょうな」

言うまでもなかった。みのもんたは上着を脱ぎ去って
いた。
「あと、この件に関して、警察の方に無能だの命を
助けろだのというのはやめたほうがいい。この通り、
少しでも不穏な動きを見せたらドカン。狙撃をしよう
にも、この狭い額に確実に当てなければならない。
頭に正確な狙撃をするのは難しい。かつて、ド・ゴー
ルを暗殺しようとした、ジャッカルという暗殺者が
いました。ド・ゴールは防弾チョッキを着ていた。
ジャッカルは頭を狙わざるを得なかった。彼は、失
敗したことのない天才だった。しかし、その時は
失敗したのです。なぜか?」

プロフェッショナルだ。流暢にまくしたてる。
「ド・ゴールがふと、うつむいたからなんですよ。
銃弾はそれた。ジャッカルは殺された。それくらい、
頭を狙うと言うことは難しい。ましてや、頭のダイナ
マイトに当たったら、誘爆して全員死亡だ。私を殺す
のは、事実上不可能ですな」

みのもんたはもう一度カメラを睨んだ。
「警察諸君、私の邪魔をするな」
そして、明るい表情になった。
「さあ、クイズを続けましょう!」

25 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 12:00
12

馬鹿な。
間違えた。俺は間違えたじゃないか。わざとだ。わざと間違えたんだ。
それなのに……。

「次の挑戦者は、埼玉県からお越しの浅野さんです!
さあ、こちらのお席へどうぞ!」

みのもんたが手招きをする。浅野は、電機椅子への道を歩く囚人
のようなうつろな足取りで、解答席へ向かった。
「あの、何かの間違いです」
弁明するのは危険だ。だが、言わずにはいられなかった。
「さっきの予選クイズですが、私は間違ったはずです。いや、
確かに間違えた。だから、ここに呼ばれるわけがない」
「そうは言いましても、コンピューターがはじきだしてます
からねえ。ボタンの押し間違えでもしたんじゃないですか?」
「そ、そんなわけは」

そんなわけはない!
浅野は叫ぼうとしたが、それは無理だった。S&Wの小さな口径が、
地獄へと続く穴のように見えた。
「納得いたしましたか?」
こんなことになるんなら、参加なんかしなけりゃよかった。
浅野は応募したわけではなかった。フジテレビから、届いた1通
の葉書。
この番組には、応募した人間でなくとも、一般人から無作為に選
んで特別参加を促す制度があるようだ。ただで何百万も貰えるチ
ャンスなのだ。浅野は一も二もなく、参加をきめた。それなのに、
それなのに。

「どうされました? クイズを始めますか?」
やるしかない。やるしかないのだ。
「お願いします」

26 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 12:13
13

絶望的な心境とは裏腹に、浅野は軽快に問題に答えていった。
28歳、東大出のビジネスマン。世界の金融市場を相手に、第一線で
バリバリ働いているのだ。知識も経験も豊富だった。
第10問目を迎えて、ライフラインは3つ残っていた。

「第10問。
タレントの安室奈美恵さんの夫が所属している、グループ
名はどれ。

trf
m.c.a.t
globe
TMN」


来てしまった……。
芸能問題に関して、浅野は全くと言っていいほど疎かった。テレビ
番組は普通に見るが、誰と誰がくっついた、などの情報に至っては
ゼロに近い。
迷っている暇はない。
「オーディエンスを使います」
ライフラインは3つある。
スタジオの外に待機しているものに相談できる「テレフォン」。
選択肢を二つに絞れる「フィフティー、フィフティー」。
そして、観客にアンケートをとれる「オーディエンス」。
あまり難易度があがってしまうと、オーディエンスは意味をな
さなくなる。観客が答えをわからないからだ。この辺で使って
おくのが得策だった。

「わかりました。では、オーディエンス。観客の皆様に答えを
お伺いしましょう」

27 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/20 12:17
14

「結果が出ました。おっと、はっきりしましたね」
みのもんたの言葉通り、結果は決まっていた。globeが
80%。間違いない。これだ。
「じゃあ、観客の皆様を信じます。Cのglobeで」
「Cのglobe……ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサーで」

その瞬間、観客がほっとため息をついたように見えた。浅野は
直感的に、嫌な気配を感じ取った。
まずい。まずい。俺は、とんでもない間違いをしているのでは
ないか? 俺は
「ざーんねん!!」
みのもんたは嬉しそうに言うとともに、銃をぶっ放した。
意識が途切れゆく一瞬の間に、浅野の聡明な頭脳は答えをはじき
だしていた。
ゲームは、我々が全員死ぬまで終わらない。観客は解放されない。
ならば、わざと間違えさせて、早めに全員殺した方が、観客にと
っては得なんだ……。

死の瞬間、浅野は悪魔の饗宴の中にいるような気がした。

35 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 00:44
15

「ああ……」
浅野が射殺されるのを見て、小津は小さくうめき声をあげた。
「今ごろ、窓口には苦情がじゃんじゃんかかってるころでしょうな」
阿部が呑気に言う。小津は鋭い声で言った。
「あなたはさっきから何なんですか。事件を解決する気はあるので
すか?」
「もちろんですよ。今、自衛隊から最高の狙撃手を呼んでいるところ
です」
「それじゃあ遅いんだ!」
「まあまあ、声を荒げないで」

阿部はそばにあった新聞を広げた。
「世界プルルン滞在記、私好きなんですよ。糞番組だなんて
とんでもない。こんな、金で人の下劣な部分を煽り立ててる
番組よりよほどいい……って、失礼でしたかな」

小津は答えなかった。
「貴方はこの二つの番組のディレクターというわけだ。偉い
んですねえ」
「他にも何本か、番組を持っています」
「なるほど。こんなことが起きてしまったら、失脚という
わけだ」
「少なくとも、この番組はおろされるでしょうね」
「なるほど」

阿部は不意に立ちあがった。
「スタジオへ行きましょう」

36 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 00:53
16

「ところで、小津さん」
スタジオへ向かう途中、阿部が話しかけた。
「貴方のみのもんたさんとの関係を教えていただけますか」
「関係、といいますと?」
「いつごろから知り合いなのか。恨みを買うようなことをしていないのか。
逆に、恨みを持ってはいないのか」

小津は立ち止まった。
「これは何ですか。尋問ですか」
「とんでもない。いえね、ちょっと気になることがありまして」
「気になること?」
「動機ですよ」

歩こう、と阿部は目で促した。肩を並べ、二人は歩き出す。
「この事件の動機はなんなのか。みのもんたさんは、おいおい話す
と言っていましたが、そろそろ限界です。お茶の間の皆さんも、
気になっているところでしょう」
「くだらないジョークはやめていただきたい」
「いや、失礼。性分でしてね」

阿部は微笑を浮かべながら言った。
「単純に考えて、今回の一件でもっとも損をする人間は誰か。
殺された本人、みのさんの家族、親戚。そして」
「スタッフ?」
「そう。貴方だ。爆発物をチェックせずにスタジオに持ち込ませた。
その責任は、貴方にある。この辺に動機があるのではないかと思い
ましてね」

阿部が話しているうちに、スタジオに到着した。入り口の前では、
公安のネゴシエーターが待機をしている。それを制し、阿部は扉を
開けた。
「さっきの話はあとでお伺いしましょう。生きていたらね」
阿部はニヤリと笑い、スタジオの中へ消えた。

37 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 01:00
17

「おい、誰だ貴様は!」
スタッフの間を縫うように近づいてきた阿部を見て、みのもんたは
声を荒げた。縄張りに入るな、といっている犬のように。
「私は、警視庁捜査1課の阿部と申します。今回の捜査主任をやっ
ております」

両手を上げた姿勢で、阿部は言った。
「だからなんだ! とっとと出て行け! クイズの邪魔だ」
「少しお話をしましょう。フジテレビは、貴方が打ちきるまで
番組を放送するようですよ」
「うるさい。出ていかないと」

みのもんたは阿部に向かって拳銃を向けた。スタジオに緊迫が
走る。
「待ってください。私は防弾チョッキを着ています。撃っても
何ともありません。この距離で頭を狙うのは難しいことは、
貴方くらいの方ならわかるはずだ」
「観客を一人殺してもいいんだぞ」

みのもんたは観客席に拳銃を向けた。不気味な沈黙を保っていた
客席から、悲鳴があがる。まずい、パニックになったらおしまい
だ。阿部は冷静に考え、みのもんたの興奮が収まるあたりまで
後退した。
「判りました。私は立ち去ることにします。ただ、一つだけ
お聞きしたい。テレビの前の皆さんも気になっているはずだ。
貴方はなぜ、このようなことを始めたのか」

みのもんたはニヤリと笑った。
「そんなことか。ふっふっふ、三人目を殺したら言おうと
思っていたんだよ。無駄骨だったな」

みのもんたはカメラに視線を移した。
「では、テレビの前の皆様。今の質問にお答えしましょう」

38 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 01:13
18

「皆さん、貴方はテレビを見ていて、物足りなく思ったことはありませんか?」
みのもんたは、カメラに向かって訥々と語り出した。その向こうには、一億人
近い人間が、かたずを飲んでいるはずだ。
「結論から言いますが、テレビの世界というのは全てやらせ、です。
生放送にも台本があります。ただ、やらせっぽくなく見せているので、判ら
ない人にはわからないでしょう。
私は長年、発信者としてテレビと関わってきました。そして、疲れたのです。
虚像を演じつづけることに。台本というベルトコンベアで流されつづける
ことに。
毎日毎日、愚にもつかない主婦の話を聞く振りをして、クイズ番組で馬鹿を
ヨイショして、若造と一緒に三文芝居を作り上げる。私は真実が欲しかった。
そこで」

みのもんたは拳銃をカメラに向けた。
「考えたのがこの企画です。死ぬか生きるか、それをクイズで決める。
かつて、こんな刺激的な番組があったでしょうか? これほど、全員が真剣に
なって取り組んだ番組はあったでしょうか? 私もスタッフも、解答者も、
そして貴方も……真剣だ。ここに真実は宿るのです」

みのもんたはそういうと、何がおかしいのか突然笑いはじめた。
そして、高らかに宣言をした。
「さあ、クイズを続けます!」

46 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 02:35
19

「狂ってる……」
小津は吐き捨てるように言った。もう二人とも、編集室に戻ってきている。
「お手上げですな」
阿部は呟いた。
「少しでも近づくと、観客を殺すという。彼は本当にやるでしょう。
また、多少の犠牲はやむをえないと突っ込んでも、ダイナマイトが爆発
するだけだ。みのさんが拳銃をダイナマイトに撃ちこむだけで、我々は
木っ端微塵ですよ。狙撃手が到着するのを待ちましょう」
「いつ到着するんですか」
「そうですね。あと30分もあれば」
「馬鹿な。何故そんな時間がかかるんだ!」
「失敗は許されない以上、日本で一番の狙撃手を呼ぶ必要があるからです。
まあ、ゆっくり待ちましょう」
「ゆっくりだなんて……あなたはおかしいんじゃないのか」
「ものは相談ですがね」

阿部は強引に話題を変えた。
「貴方は東大の理学部出身だそうで」
「ええ」
「コンピュータには詳しい?」
「人並みには」
「モノは相談ですがね」

阿部はゆっくりといった。
「機械に、トリックを仕掛けることはできませんかね?」

47 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 02:41
20

「機械に……?」
阿部はこくりと頷いた。
「そうです。解答者が何を答えても、すべて正解にしてしまうんです。
そうすれば、問題は解決する。いや、しないかもしれないけど、この
膠着状態は抜け出せるはずだ」
「なるほど。しかし」
「しかし、なんです?」
「私にはそのような作業は出来ません」
「それはおかしいですね。さっきスタッフの方にお伺いしたんですが、
このシステムの大元を設計したのは貴方だそうじゃないですか。ちょ
っと細工をするくらい、構わんでしょう?」
「しかし、トリックがばれたらどうしますか? みのさんが解答を
知っていたら?」
「おっと、それは考えませんでしたね」
「そんなこと、最初に考えてくださいよ! だいたい、この番組は、
問題ごとにみのさんに解答を送っているんじゃない。予めみのさん
は全部の解答を知っているんだ。だから、ごまかせるはずがない」
「そんなに怒らなくて結構ですよ。失敬失敬」

そのとき、若い刑事が阿部の肩を叩いた。
「ちょっと失礼」
阿部は席を外すと、小津は一人になった。
モニタの中では、4人目の挑戦者が処刑台に向かっているところだった。

48 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 02:54
21

「助けてください……」
加藤は、着席するなりそう言った。
「私には、妻も子供もいるのです。お願いです。た、助けて」
「私にも優しい妻と、可愛い子供がいますよ。もう生きていけないで
しょうけどね。ハハハハハ!」
「お、お願いです。私は呼ばれただけなんだ。こ、こんなことに
なるのなら、来なければよかった」
「こちらからお呼びがかかったというのは、めったにない体験なん
ですから、もっと喜ばなきゃ。本当なら、応募しても出れない人が
たくさんいるんですよ」
「嫌だ、嫌だ」
「さあ、クイズをはじめますよ。えーと、東京都からお越しの加藤
駿作さんですね。45歳、バリバリの働き手だ。なんと東大出身で
すか。今日は東大に縁のある日ですね」
「……」
「そんな暗い顔をしてちゃ、答えられるものも答えられないですよ!
さあ、いきましょうか、第一問目」
「嫌だ、嫌だ!」

そう叫ぶと加藤はみのもんたに飛びかかった。
だが、全く間に合わなかった。俊敏な動きで銃口を額に合わせ、引
き金を引く。その動きは、さながらマシンのようだった。

悲鳴とともに、死者の数は4になった。

49 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 03:00
22

「狙撃手はいつ来るんですか!」
小津は声を荒げた。阿部は煙たそうに手を振った。
「そうですね。あと二十分ほどですか。ヘリコプターで大至急向かわせて
いるところです」
「二十分……」

小津はしばらくうつむいた。阿部は構わず話を続ける。
「ところで、気になったことがありましてね。みのもんた氏は、どこから
あんな大量の武器を持ってきたんでしょうね」
「貴方の雑談につきあっている暇はない! もう、我慢できない!」

小津は勢いよく立ちあがった。
「どうするんです。小津さん?」
「スタジオへ行きます。そして、私が直接、みのさんに話をつけて
きます」
「勝手な行動は許しませんよ」
「さっき聞かれた話にお答えします。私とみのさんは、もう二十年来
の中だ。私がテレビ局に入ってから、ずっと付き合いがある。私の
話ならば聞いてくれる」
「むざむざ死にに行くのかもしれない。奥さんや子供さんが哀しみま
すよ。そういう仕事は、我々に任せておくんだ」

小津はふっと、寂しそうな表情を見せた。
「妻は……いません」
「そうでしたか。これは失礼。とにかく、少し落ちつきましょう」
「いや、私は行きます。きっと説得してきます。止めないでください」

小津はそういうと、編集室から駆け出した。

50 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 03:06
23

小津の行動に、捜査陣が一縷の望みを託したのは事実だった。
この手詰まりの状況の中、みのもんたとコミュニケーションを取るには、
近しい人の説得が必要だと考えられていたからだ。
小津は堂々と、スタジオに乗りこんだ。
「おい、今入ってきたのは誰だ?」
神経質に、みのもんたが声を荒げる。
「私です。ディレクターの小津です」
「小津君か。どうした?」
「もうやめにしませんか?」
「ダメだ」
「テレビというのは、安心して楽しめる娯楽を提供するメディアなのです。
それには、やらせは必要悪だ。貴方もそんなことくらいわかっているはず
だ」
「それに嫌気が差したのだよ。一度くらい、真剣勝負をしてみたい。思わ
ないのかね」
「思いませんね」
「なら、話すことはないな。帰りたまえ」
「いや、ひとつ提案があります」

小津は声を張った。
「みのさん。私と勝負をしましょう」

65 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 23:47
24

「勝負……?」
みのもんたは、明かに興味を持った表情で問いかけた。
「そうです。こうなったのは私の責任だ。私がクイズに解答します」
「私の責任だ、か。確かにそうだ。くははは」
「貴方は台本通りことが進むのを好まないはずだ。だからこのような
ことを始めたんだ。だから」
「君のいいたいことは判ったよ。奇妙な男だ、君は。こんな面白い
試みを始めておきながら、やめろというのだからな」

みのもんたは拳銃を持っているほうの手で、大きく手招きをした。
「座りたまえ」

66 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/21 23:54
25

「ひとつ問題がある」
みのもんたは、小津が座るなり言った。
「テレビの前の皆さんは知らないかもしれないが、この小津君は、
この番組のディレクターだ。当然、出題される問題は全て知って
いる。さて、どうしたものかね」
「貴方が問題を考えればいい。この場で。それこそ、真剣勝負に
相応しい。我々が考えている問題に乗って番組を進めていた時点
で、貴方は満足していなかったはずだ」
「くくく。確かにそうだ。だが、私が本当は正解なのに、間違い
と言い張って君を殺した場合はどうなる?」
「この番組の視聴率は、既に90%を超えています。一億人が
証言者だ。貴方はプロだ。不正はしない」
「もしも私が答えを勘違いしていたら?」
「そのときは諦めますよ」
「面白い。その勝負、受けることにしよう。
確認をする。クイズは15問。全問正解できたら、私の負け。
1問でも間違えたら、君の負けだ。君は死ぬ」
「構わない」
「奥さんが哀しむだろう。子供も」
「私に家族はいない。両親も死んだ。心配は無用です」
「なるほどなるほど」

みのもんたは嬉しそうに笑みをこぼし、身を乗り出した。
「第1問」

68 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 00:03
26

「まずは君の好きな、映画の問題でも出そうかね。
次のうち、アルフレッド・ヒッチコックの作品はどれ。

A 裏窓
B 太陽がいっぱい
C ジョーズ
D 終着駅」
「裏窓。ファイナルアンサー」
「……正解。
第2問。では、小説の問題だ。名作「幻の女」の作者は誰。

A エラリー・クイーン
B ロス・マクドナルド
C ウィリアム・アイリッシュ
D アイラ・レヴィン」
「ウィリアム・アイリッシュ。ファイナルアンサー」
「正解だ。お見事」
「こんな簡単な問題ばかり出していると、あとで後悔しますよ」
「心配はいらない。私には、「思いっきりテレビ」で蓄えた知識が
あるからね。あんな下らない番組が役に立つ日がこようとは、つい
ぞ思わなかった。君は確実に死ぬ」

「……見事ですね」

編集室で、若手の刑事が阿部に話しかけた。阿部は顔をしかめながら言った。
「まだ2問だ」
「でも、あの人、博学そうだし、行けるかもしれませんよ」
「……お前は馬鹿か」
「はっ?」
「なんでもないよ」
「あっ!」

若手刑事は声を上げた。モニタの中で、小津が答えに詰まっていた。

70 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 00:14
27

「第5問。
パブロ・ピカソの画風を、俗になんというか?

A 印象主義
B キュビズム
C フォーヴィズム
D シュールレアリスム」


小津が詰まった問題はこれだった。先程から、もう5分も黙っている。
「どうしました? ん? ん?」
「静かにしててください。記憶の戸棚を整理しているところだ」

水を飲みこむ。足を組む。そして、うつむく。みのもんたは囃し立てたい
気持ちを我慢するように、背もたれに体を預けた。
しばらくして、小津が言った。
「オーディエンスを」
「オーディエンスですか。いいんですか。さっきの挑戦者は」
「結構です」
「……では、観客の皆様にお聞きしましょう。お手元のボタンをお押し
ください」

やがて、結果が出た。

A 印象主義 2%
B キュビズム 10%
C フォーヴィズム 7%
D シュールレアリスム 81%

「はっきりしましたね、これは。この結果をどう取るかは貴方次第だ」
「少し考えさせてください」

小津はしばらく黙り込んだ。観客を見まわし、空気の匂いを嗅ぐように
鼻をならし、口を開いた。
「Bのキュビズムで」
「ほう。お客様を信用しない?」
「彼らには前科がありますからね」
「なるほど。Bのキュビズム。ファイナルアンサー?」
「ファイナルアンサーだ」

みのもんたは小津の顔を覗きこんだ。目を見つめる。嬉しそうな瞳。
大好きな玩具を見つめるような。
「正解!」
小津はふっとため息をついた。

71 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 00:19
28

「危なかったですねー」
編集室。相変わらず、若手の刑事が阿部に話しかけている。
「そうだな」
「なるほど、2番目に多い答えを答えればいいんですねえ。頭いいなあ」
「君の頭が悪いだけだ」
「はっ?」
「なんでもない」
「……阿部さん」

別の刑事が話しかける。阿部の瞳に、突然興味が宿った。
「おう」
「さっきの話ですが、調べがつきました。間違いありません。確かに……」

ごにょごにょと話を始める。若手刑事は面白くない。自然とモニタの方を
向く。
「いつまで考えているんですか?」
モニタの中で、みのもんたが苛立っていた。

72 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 00:32
29

「もう10分も考えている。テレビの前の皆さんも、イライラしている
はずだ」

みのもんたは声を荒げた。その表情は、明かに苛立っていた。
「今回の問題は難しいですからね。私も命がかかっているんだ。それに、
何分考えてもルール上は問題がないはずです。前に、30分考えていた
人がいたじゃないですか。貴方はプロだ。ルールは守りましょう」
「ルール、ルールか……。確かにそうだが」

小津は水を口に含んだ。腕時計を見る。そして、腕時計の反射で入り口
の方を見た。
みのもんたが小津に気を取られている隙に、スマートなライフルを持っ
た狙撃手が侵入していた。小津は浮かんでくる笑みを、辛うじて抑えた。
せき払いをする。
「答えが出ました。答えは……」
「答えは?」

小津がみのもんたの瞳を見つめる。真剣な表情で見つめる。時間が止まる、
その一瞬。
みのもんたの額に穴が開いた。その瞬間、小津はみのもんたの体に突っ込
んだ。拳銃を奪う。そして、みのもんたの口に銃口を押しこみ、引き金を
引いた。
ふーっと、小津は大きくため息をついた。終わった。終わったのだ……。
「ブラボー!!」
スタジオの空気が急速に弛緩する中、入ってきた阿部が声を上げた。
「お見事でした! 貴方のおかげで、狙撃手が狙撃できる隙が出来た」
「……はは」
「貴方が挑戦しようと言い始めたとき、私はピーンと来ましたよ。
ああ、これはスナイパーがくるまでの時間稼ぎだな、って。貴方は
素晴らしい」
「それほどでもないです」
「これほどの殺人計画を、たった一人で練り上げたんですからね」

阿部は手錠を出した。
「小津さん。貴方を殺人容疑で逮捕します」

73 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 00:43
30

「殺人容疑? なんのことですか?」
突然始まった逮捕劇に、安堵のため息が漏れていた観客席の空気が、
再び引き締まった。
「みのさんを殺したことですか? 冗談じゃない。これは正当防衛だ」
「それ以前に、我々の狙撃手が殺害しています。額を撃ちぬいています
からね」
「なら」
「ひとつお聞きしたい」

阿部は小津をさえぎって言った。
「みのさんが撃たれた瞬間、貴方は迷わずにみのさんに掴みかかっていった。
何故ですか?」
「それは、死んでいなかったら私が殺そうと思って」
「それにしては躊躇がなかった。額に穴が開いているのを見たのに、貴方は
更に銃弾を撃った。これが示すことはただひとつです」

阿部は小津を指差した。
「貴方は最初から、みのさんを殺すつもりだった」
「……」
「なぜなら、みのさんが生きていては、貴方の犯罪が発覚してしまうから
です」
「何を根拠に」

阿部は詰め寄るように言った。
「みのさんにこのようなことを起こさせた黒幕。それは貴方だ。違いますか?」

74 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 00:53
31

「最初におかしいと思ったのは、3番目の挑戦者が漏らした台詞でした。
彼はこう言った。「私は間違ったはずです。いや、確かに間違えた。
だから、ここに呼ばれるわけがない」。みのさんが、ボタンの押し間違え
じゃないですか? と聞いたあとも、「そんなわけは」と未練がましく
言った。多分、こう言いたかったんでしょう。「そんなわけはない」」

阿部はプレゼンテーションのように、流暢に話を進める。
「そもそも、不思議だったんですよ。時が来れば、警察が解決してくれる
かもしれない。立てこもり事件とはそういうものです。それなのに、なぜ
解答者はわざわざ正解をして、処刑台にあがろうとするのか? 十五問正
解できる自信があったとは思えません。一年間に一人か二人、出るか出な
いかの難関だ。そんなことは馬鹿でもわかる。
ならば、わざと予選の段階で間違えて、じっと待っていた方がいい。違い
ますか」
「……」
「貴方のように、その椅子の上でひたすら粘るというやり方もある。だが、
何時間も解答を延ばしていては、いつみのさんが逆上してピストルの引き
金に指をかけるかわからない。予選席でおとなしくしているのが正解だ」

阿部はなおも続けた。
「私は最初から、それが不思議だった。そして、3人目の人の発言で確信
しましたよ。これは、機械に細工がしてあるのだ、と。
このシステムを設計したのは貴方ですね」
「……そうです」
「ならば、細工をするのもたやすかったはずだ。そう、特定の人間を
解答席に座らせるように、間違いでも正解にしてしまうようなトリッ
クを仕掛けるのはね」

小津は観念したように首をうなだれた。

75 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 01:04
32

「不思議なことはまだあった。みのさんはどこでダイナマイトを手に入れた
のか? 拳銃はまだわかります。アメリカで買ってきて、特殊な磁気ケース
にいれて持ちこめば、持ち込むことができる。日本で買うことだって出来ま
す。しかし、ダイナマイトはそういうわけにはいかない。
例えば、国内であれだけのダイナマイトを揃えるとしましょう。みのもんた
さんは顔が割れている。超有名人だ。そんな人が、何十本もダイナマイトを
揃えるとしたら、たちまち噂が広がるでしょう。それ以前に、日本でそれだ
けの爆発物を入手するのは困難です。革マル派だって持っていない。そこで、
どうすればいいと思いますか?」
「貴方はもう、知ってるんでしょう?」
「そう。その答えが、「世界プルルン滞在記」だ」

阿部は言った。
「貴方は「世界プルルン滞在記」のディレクターだ。自然と、全世界を
回る仕事だ。イスラエルやロシアのような、武器商人がわんさかいる
ような地域も行きましたよね?」
「はい」
「貴方はそこでダイナマイトを仕入れてきた。あ、貴方のスケジュール
をチェックさせてもらいましたが、ベイルートに3度飛んでいますね。
このときに仕入れたのですか?」
「はい……そうです」
「ありがとうございます。そして、もうひとつ。4人目の挑戦者が
言ったことを、貴方は覚えていますか?」
「いいえ」
「彼はこう言った。「私は呼ばれただけなんだ。こんなことに
なるのなら、来なければよかった」。
この番組に参加するには、応募の他に、番組サイドからゲストを
呼ぶ、という方法があるようですね。4人目の挑戦者が言っていた
のはそれです。一般人の中から、幸運にも選ばれた。これが引っか
かった。既に私は、機械にトリックがあるのでは? と疑っていま
した。そこで、調べさせていただきましたよ。今日殺された4人の
解答者、全てが番組に……つまり、貴方に呼ばれてきたのだ、と」
「……」
「最低でも10万、ひょっとしたら100万単位の金が貰える
番組です。飛びつかない人間はいない。貴方はそこまで計算していた
んだ。違いますか?」

ダメだ、全て見破られている……。
小津は完全に観念した。
「そうです。貴方の言っていることは間違いない」

76 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 01:16
33

「そして貴方は最後の仕上げに出た。みのさんと直接対決をする
ことで、自分を容疑圏外に外すことです。だが、私の疑惑はここで
確定しました。貴方はみのさんが何と言ったか、覚えていますか?」
「いえ」
「彼はこういった。「奇妙な男だ、君は。こんな面白い試みを始めて
おきながら、やめろというのだからな」。この台詞はおかしくないで
すか?
面白い試み、を始めたのはみのさんだ。だが、みのさんは、あたかも
貴方が試みを始めたかのように言っている。事実、そうだったんです
よ。ダイナマイトを用意し、それを巻きつけたままで司会者席に座ら
せるというお膳立てをしたのは貴方だったのだから」
「……」
「貴方にとっては、ここが一番危ういところだった。一つ間違えれば、
みのさんの口から、貴方が共犯であることがばらされていたかもしれ
ない。しかし貴方は、みのさんは決して言わないだろうという確信を
していた。なぜなら、みのさんの中では、この番組の主役はみのもん
たであり、貴方ではなかったからだ」
「……確かにそうです。彼は絶対に言わないはずだった。台本に対す
るアンチテーゼとして始めたのだから、台本に踊らされているという
ような発言は絶対にしない。むしろ、アクシデントを好むはずだった」
「というと、貴方との対決は、最初から予定されてはいなかった?」
「いませんでした。なぜなら、予定していれば、絶対にみのさんは
私に逆らったはずだからです」
「なるほど」

阿部はこくりと頷いた。
「クイズに参加してからの貴方は、ひたすら本当に対決しているかの
ような芝居をしていればよかった。自分を容疑圏外に外すためのパフ
ォーマンスですからね。オーディエンスを使ったのは心憎かったです
な。さも真剣に考えているように見える。実際に、ウチの若い刑事は、
貴方が本気で迷っていると勘違いして、奇妙な解説をしてましたよ。
なんのことはない、貴方は最初から答えを知っていた。それでいて、
オーディエンスを使った。違いますか?」
「ピカソは好きなんでね」
「なるほどね。ともあれ、最後、みのさんに飛びかかっていったと
ころで、私の疑惑は固まりました。この計画は全て貴方が行った。
証拠はこれから幾らでも出てくるでしょう。被害者と貴方の関係を
調べるだけで充分だ。貴方を逮捕します」

阿部はゆっくりと小津に近づいた。小津の決心は固まっていた。
「動かないで下さい、阿部さん」
小津は素早い動きで、みのもんたの頭からダイナマイトを外した。
「動くと、ドカンといきますよ」

77 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 01:24
34

「馬鹿な真似はやめるんだ」
阿部の声は張り詰めていた。
「貴方は人の命をなんだと考えているんだ」
「少し、話をさせてください」

小津はカメラに向かって言った。
「この……阿部さんの言ってることは、全て本当だ。私が全てを考えた。
この4人を殺したのは私だ。この番組を作ったのは、4人が一同に会して
も不思議じゃない状況を作るためだったし、生放送をしたのは、一億人の
前でこいつらを殺すためだった」

小津の口調は、狂気を帯びていた。まずい、と阿部は判断した。狙撃手が
小津の頭を狙っている。だが、小津はふらふらと動いており、照準が定ま
らないようだった。
「小津さん、もうやめよう。こんなことは意味がない」
「もう少し、話させてください。私には妻がいません」

小津は再び、テレビの前に向かって発言を始めた。
「なぜなら、妻となる女性が、大学時代に自殺してしまったからです」
小津の言葉は、一つ一つが、鉛のように重かった。

78 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 01:41
35

「私は東京大学の出身です。私の恋人も、東京大学にいました。
二人は大学を出たら結婚をしようと約束をしていました」

話すにつれ、小津の狂気が納まっていくようだった。
「そして突然、私の恋人は自殺をしました。知っている人がいる
かもしれませんね。20年前に起きた、忌まわしい事件」
「東大生の集団レイプ事件か」
「そうです」

阿部の言葉に、小津は沈鬱に頷いた。
「あれの被害者が私の恋人でした。犯人は4人いた。私はそのとき
から、4人に復讐をするために生きようと思ったわけです。強姦罪
の懲役は軽いですからね。殺人に匹敵する罪なのに、今の法律は
軽すぎる」

小津はなおも続けた。
「復讐をしよう、と私は決心しました。それも、どうせなら最悪の
方法で復讐をしよう、と。まず考えたのが、犯人の大切なもの
を奪うことだった」
「……そうか」
「そうだ。今日来ている4人は、全て犯人じゃありません。第一、
そんなことをしたら、お互い顔見知りなのだからすぐにばれて
しまう。今日死んだ4人は、すべて、犯人の親戚です」
「貴方という人は……」
「犯人のせいで、親戚が死んだんだ。今後、犯人は恨まれる。
家庭は崩壊するでしょう。親戚中からつまはじきに会うでしょう。
会社もくびになり、社会的に抹殺され、そして」
「自殺する」
「そうだ。お前らにも、清美の味わった苦しみを思い知らせてやる」

清美というのが、その自殺した恋人の名前であることは明白だった。
「毎朝新聞の桂木啓太! エキゾチック旅行社の松井研二!
繁栄出版の浅野忠志! ビッグハンバーガーの加藤由紀夫!
犯人とはお前らのことだ! 死以上の苦しみを味わえ! 生きながら
死んでゆく苦しみを!」

小津は叫ぶと、突然みのもんたの手から拳銃を奪い取った。まずい、
と阿部が思った瞬間には遅かった。

小津はこめかみに拳銃を当て、引き金を引いていた。

79 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 01:50
36

「貴方には参りましたよ」
小津の墓。ひとりぼっちの墓。
阿部はその前にたたずんでいた。
「全て、貴方の計画通りだったわけだ。貴方ほどの頭脳の持ち主にしては、
あの計画は杜撰すぎた。ダイナマイトのルートの特定、システムのトリック、
全て簡単に見破れた。いや、見破られても、貴方はどうでもよかったんだ。
テレビの前で、犯人を告発することが重要だったのだから」

阿部は新聞を広げ、墓に添えた。
「今日、浅野が自殺しましたよ。これで4人全員が死んだ。貴方の目論み
通りだ」

そして、そばの石に腰掛ける。
「貴方がみのさんを殺した理由は、口封じのためじゃない。テレビカメラ
を独占する必要があったからだ。みのさんが生きていては、テレビ局ごと
吹っ飛ばされる恐れがあったからだ。
貴方は犯罪の天才だ。台本主義に嫌気がさしているみのもんたを取りこみ、
あのような凶行に走らせた。そして、生放送をさせた。番組の収録を
ちょうど7時前にすることで、一番人のいる時間にテレビをつけさせる
ように。それも全て、テレビの前で犯人を告発するためだったんだ」

阿部は墓石に手を置いた。
「貴方は天才だ。だが、馬鹿だ。なぜ過去にこだわるんだ。なぜ
前を向いて歩こうとしなかったんだ。貴方ほどの人なら、きっと有益な
仕事ができたはずだ。なぜだ。なぜなんだ」

阿部はひとしきり話しかけると、腰を上げた。風が吹いた。新聞紙が
飛ばされ、高く空に舞いあがったかと思うと、それはすぐに見えなく
なった。




おしまい

80 名前: 城裕希 ◆mW8xs4YI 投稿日: 02/03/22 01:52
あとがき

作品の肝としては、(メール欄参照)といったところでしょうか。
何も考えずに書き始めたんですが、それなりに面白くまとまった
と思います。感想お待ちしていますねー。

またネタが思いついたら書くとします。
それまで、ここは雑談スレッドにします。


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コメント


承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです

…凄い。文庫化(ry

東大の伏線はそういうことだったのか。

思わず最後まで読んでしまいましたよw

久々に長文読んだぜ GJ

面白い!読んでてゾクゾクした!
しかしこれ、4年前の…?

昔読んだ記憶があるけど、何回みてもいいな。

すげえwwww

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